7−5−2 活断層の活動性、最新活動時期、再来周期

本調査では、活断層の活動性、最新活動時期、再来周期についてはかなり幅を持った算定しかができなかった。しかし、本調査で勧修寺断層と御蔵山断層に関して実施した調査のように、活動履歴の解明には手に届くところまで来ているように思われる。

今後の方針として、本調査結果を基に、活断層の性状をさらに詳細に解明することがあげられるが、活断層調査だけに限らず、一般公共事業で行われる地震考古学的な調査(埋蔵文化財発掘調査における遺物・遺構の包蔵層のずれや液状化の検出)、道路・地下鉄・上下水道・建築のための地質調査・工事などがリニアメント付近に該当する場合には、活断層に留意した調査計画・内容とし、活断層に関するデータを蓄積して、地域防災計画の貴重な基礎資料を作成していくことが必要と考えられる。

京都市は、京都盆地の周辺に分布する主要な活断層系の一つ、「京都盆地−奈良盆地断層帯」について、平成9年度地震関連基礎調査交付金(科学技術庁)を受けて、詳細な調査を行った。

本調査によって、これまで推定されていた京都盆地−奈良盆地断層帯に属する「勧修寺断層」と「御蔵山断層」の位置や性状が確認された。また、山科盆地を横断する地下地質構造、特に基盤構造がP波反射法探査によって明らかになり、今後の地震被害想定を考察する上で、有益な資料が得られた。

本書を作成するにあたり、防災担当関係者をはじめ、地元の方々には、いろいろとご協力していただきました。これらの方々に心から感謝を申しあげます。

最後に、この活断層調査の成果が一般公開されることによって、地震活動ならびに地震防災に対する理解が、地震の専門家ではない方々にも深められ、日常生活のために活用されていくことを期待いたします。