トレンチ調査を実施した結果、段丘層が下位のものほど急傾斜し、地表に近い段丘層上部(腐植土層)も地形面より大きな勾配で傾斜していることを検出し、断層運動に伴う撓曲変形が累積的であり、新しい層準の地層の累積性を明らかにすることが重要と考えられた。
そこで、地層の連続性、撓曲帯の幅、地層の堆積時の傾斜(オリジナルディップ)を明らかにするため、および分析試料の採取等のため、トレンチの東(下盤)側で3本のボーリングを実施した。
トレンチの西側では、撓曲崖の西側に広がる段丘面上において、段丘層の性状、大阪層群の内部構造を明らかにするために、ボーリング1本を実施した。
(b) 掘削深度
4本の内、3本では明らかに大阪層群に対比される地層とその内部構造を確認できる深度とした。
残りの1本は、段丘層上部の腐植土層を確認できる深度とした。
(c) 掘削口径及びコア径
ボーリング調査は一般に外径66mmであるが、れき分の多い地層では予想されるれき径より掘削口径を大きくすることで、コア試料の採取率が向上し、あまり乱されていない試料採取が可能となるため、コア観察にも影響してくる。本調査では、大阪層群のれき径(概ね50mm以下)を考慮して、掘削口径86mm、コア径約60mmとした。
(d) 掘削工法
大阪層群粘土層については、ダブルコアチュ−ブを用いた送水掘りとしても、コア採取低下にはつながらないと考えた。
段丘層および大阪層群中の砂およびれき層には、締まりの緩いところがあり、送水掘りでは細粒分の流失したり、コアチュ−ブから試料が落失することがある。無水掘りで回転しながら採取すると、コアが激しく乱されて、地層の性状が判別できにくい。そのため、打ち込み方式(コアチュ−ブを回転させずに、標準貫入試験用のハンマ−でコアチュ−ブをたたき込む方法)を併用した。
段丘層より新しいれき層についても、打ち込み方式を採用した。
(e) 掘削期間
本調査では、比較的明瞭なリニアメントを対象として、トレンチ調査を先に実施することになった(京都市地域活断層調査委員会での決定事項)。用地などの関係上、トレンチ掘削できなかった地点でボーリング調査を実施し、活断層の位置、性状を明らかにするデ−タを補填することにした。
(f) 使用機器
ボーリングマシン 吉田鉄工製 YSO−1 1台
同 YBM−05 1台
エンジン NS50 1台
同 NS65 1台
ポンプ 同 リ−ドF 2台
シングルコアチュ−ブ 2式
ダブルコアチュ−ブ 2式
ケ−シングパイプ 2式
その他 2式