図4−22に測点200〜700m区間を抽出して地質構造解釈の一例を示した。反射波は西から東に向けて明瞭に確認できるが、測点500m〜600m付近から右側では反射面が途切れて不明瞭になる。反射面が不明瞭になる部分を画すと東傾斜の境界面が推定できる。この場合、この境界面が断層によって形成されたと仮定すれば、ここに東傾斜の断層が存在することが考えられるので、西落ちの逆断層であるF5断層を解釈した。仮にこの断層線を地表まで延長すると測点520m付近に達する。都市圏活断層図にはL2測線上にはこの地点に地形上特記される情報は示されていないが、測線の北150mに西落ちの断層が記載されているので、これと何らかの関係があるものと推察できる。
次に、測点480m、深度−100m地点で西から明瞭に連続してくる反射面が途切れて、若干右上がりを示している様子が見られる。ここを中心として、左上から右下に反射面の不連続が認められる。都市圏活断層図では西落ちの小野断層が測点300mを横断しており、これらを考慮して低角度の逆断層であるF6断層を解釈した。仮に断層線を地表まで延長した場合、測点280m付近に達するので、この断層は小野断層と何らかの関係があると推察できる。
標高0m以浅では反射波は振幅が小さく不明瞭となる。L2測線の地表付近は扇状地堆積物であることから、海成粘土のように良好な反射面を形成しなかったと考えられる。
測点200mを例にした場合、大阪層群内では深度−170mよりも浅い部分と、−260mよりも深い部分に連続した明瞭な複数の反射面が確認できた。この中間ではあまり顕著な反射面は確認できていない。ここでは、上部を海成粘土層を含む上部大阪層群、下部は砂礫層主体の下部大阪層群と解釈した。海成粘土層部分と解釈した部分では、反射断面からは5〜7枚の反射面があり層厚は100m程度であると考えられる。
L2測線ではL1測線のように反射結果から大阪層群と中・古生層との不整合面を推定することができなかったが、反射面対比と反射波の振幅減少などを考慮した場合、青線付近が中・古生層に相当すると考えられる。なお、本測線での基盤最深部は旧奈良街道付近で、約標高−330mであると推定した。ここでの大阪層群の層厚は360mに達すると推定した。