(15)深度変換

データ処理基準面からの往復走時で表示されている反射断面図を地表からの深度に変換する処理。この処理では地層の弾性波速度を求めることが必要で、今回は以下に挙げる既存資料と重合速度から計算した区間速度を比較検討した。

速度資料

@平成9年3月の京都市防災会議、専門委員会PS検層結果資料

A醍醐西団地内でのサスペンションPS検層データ

B川崎・小林(1993)が実施した横大路断層の反射法探査の重合速度

C狐崎ほか(1971)が実施した弾性波探査結果

以下に各資料の弾性波速度について説明する。

@の資料からは大阪層群内のP波速度として、4B(防災研)、醍醐西団地のPS検層データを参考とした。一方基盤岩である中・古生層のP波速度として、S−32、S−33、S−34、S−42、S−43、S−44、S−45、S−50のPS検層データを参考にした。その結果、大阪層群では、地表から地下50m付近までの速度は、4Bで1000〜2140m/s、醍醐西団地で1540〜1690m/sであった。

中・古生層内では、風化部を除いたチャート部分で2600〜4000m/s、粘板岩で3000〜3600m/sであった。

Aの資料では大阪層群内のP波速度は地表から60m付近まで1540〜1740m/sであった。

Bの資料では大阪層群内の重合速度から計算した区間速度は、同層上部から約2000m/sでほぼ平坦で、大阪層群下部から基盤岩直上にかけて3000m/sに漸移していた。

Cの資料では大阪層群内は一部で900m/sが現われているが、ほぼ2000〜2100m/sの値であった。一方基盤岩は4400〜5200m/sであった。

この他に、京都市水道局が平成4年に実施した山科盆地北東部の琵琶湖疎水改良工事に伴なう弾性波探査結果からは、中・古生層の破砕帯部を除外したP波速度は3000〜4200m/sであった。

これらを検討した結果、狐崎ほかの基盤岩速度は、他のデータよりも速い値が得られたほかは、今回のデータ処理区間速度値と調和的であった。よってこれを深度変換に適用した。ただし、重合速度は反射面の傾斜及びオフセット距離に影響されるので、比較的反射面が水平な部分での速度解析点のデータを用いた。また、速度解析点は必ずしも同一地層面ではないので、代表値を適用して、同一層内及び同一層に相当する深度の地層に対して重合速度を適用することで、深度変換に伴なって起こりうる地層の見かけ変位を防ぐことができた。その結果、大阪層群内のP波速度は1700〜2420m/sを適用した。中・古生層内では上部3100m/s、下部で3700m/sを適用した。