大阪層群を覆うように分布する礫層は、撓曲崖の東側で行ったトレンチ調査、撓曲崖の西側で行ったボーリング調査によって、ともにチャートを主とする新鮮で硬質な礫を非常に多く含む堆積物で同一層と判定した。新鮮で大きな礫(最大径300mm)を混入すること、基質の締まり具合が悪いことから低位段丘層(段丘礫層とも呼ぶ)に対比した。
段丘礫層は撓曲崖の東西両側で2m程の一定した層厚で分布している。同礫層の基底面は、撓曲崖(推定断層面)をはさんで、約3mの比高を示す。
大阪層群中のシルトと細粒砂とのラミナを詳細に観察した結果、クロスラミナが逆転していること、粘土層と砂層の境界では粘土層の下側が酸化していることから、地層が逆転していることが明らかになった。さらに、ほぼ垂直に立っているラミナや約40゚のへき開面が平行に発達している部分もあり、撓曲崖付近の大阪層群が著しく変形していることが明らかになった。
さらに、トレンチ箇所の南方約250mの地点で発見された段丘堆積物を切る活断層露頭は、地層のずれの方向が、御蔵山断層本体の西上がり東下がりとは逆に、東上がりとなっている。この形成機構は、褶曲運動に伴う層面滑りと解釈した。