(4)灰方測線の調査結果

図3−20参照)

反射面の分布状況は,CDP No.420付近を境にして,大きく二つの区間に分けることができる。

1)CDP No.420付近から西側について

連続性の良い反射面のうち最深部のものに注目すると,測線西端部では標高+70mであり,東に向かって徐々に深くなり,CDP No.420付近では標高0mとなる。植村(1990)の基盤深度分布によると,灰方付近では標高+3mで基盤が確認されている。したがって,ここで注目した反射面は基盤の中・古生層上面に該当し,それを大阪層群が覆っていると推定できる。

CDP No.100付近およびCDP No.150〜160付近では反射面にたわみや小さなズレが認められる。前者は2本に分岐した光明寺断層の内,西側の丘陵地東縁部付近の山地(野山山塊)と丘陵地の境界部または丘陵地内にあって大阪層群の地層を幅広く傾斜させた断層線上にほぼ一致する。後者は地形解析によって大原野地区に広がる段丘面・扇状地面上の撓曲として認められたリニアメントの延長上にあたり,本調査によってはじめて地質構造的に確認したことになる。

2)CDP No.420付近から東側について

CDP No.420〜450付近は,反射面の連続性が悪い。この範囲にみえる西に急傾斜する波の連なりは散乱波によるノイズであるが,このようなノイズ波は,構造の変化点で発生しやすい。この区間はまさに光明寺断層のリニアメント通過上に位置し,この反射面の途切れ,ノイズ波の発生は当断層による変状帯を反映したものと考えられる。そして,基盤上面の垂直変位量が約50mと推定される。

CDP450付近から東側における反射パタ−ンは松尾,樫原測線と良く似ている。反射面が標高−60m付近まで6〜7枚ほぼ水平に分布し,大阪層群が西側よりも厚く安定して,ほぼ水平に分布すると考えられる。