既存文献によれば,嵯峨越畑の八坂神社付近において約6.8万年前頃に噴出した大山生竹軽石(以下DNPと略称する)を挟む地層が撓曲することが判っている。その露頭の約250m南の主要地方道京都−日吉−美山線とリニアメントが交差する道路法面には,DNPと推定される火山灰を挟む地層が急傾斜している露頭を見ることができる。従って,越畑断層は越畑盆地付近ではDNP堆積以後にも活動したと考えられる。
しかし,嵯峨樒原から嵯峨水尾付近の間でリニアメントは不明瞭となり,嵯峨水尾付近から南東側では北西−南東方向で左ずれセンスを持つリニアメントとして認められるが,第四系を切る断層露頭は確認されなかった。