1−3−2 既存ボーリング資料調査

京都西山断層群を横切る地質断面図の作成及び調査計画策定のため,京都市右京区と西京区並びに京都府向日市・長岡京市・大山崎町及び大阪府島本町の既存ボーリング調査のデータを収集した。

京都市内の京都西山断層群関連のボーリングデータは京都市都市計画局などの協力のもとに収集した。京都府向日市・長岡京市・大山崎町からは,「京都南部都市広域行政圏広域防災ネットワーク形成に向けた地域防災計画(広域編)指針の策定と自然条件資料(ハザードマップ)作成:平成8年6月」に用いられたデータや最新のデータを提供していただいた。大阪府島本町からは校舎やポンプ場等の建設に伴うボーリングデータを提供していただいた。日本道路公団大阪建設局には名神高速道路建設事業において実施されたボーリングデータを提供していただいた。

収集したボーリングデータは既存ボーリングデータ集として別冊にまとめた。ボーリング位置は10,000分の1京都市都市計画図にプロットし,ボーリング地点には京都市内ボーリングデーター集(京都市住宅局建築指導部審査課監修:1986)仕様に準拠して通し番号を付し,既存ボーリング位置図付図1(付図1−1−1付図1−1−2付図1−2−1付図1−2−2付図1−3−1付図1−3−2付図1−4−1付図1−4−2)を作成した。

[備考] ボーリング位置番号について

京都市内ボーリングデーター集(京都市住宅局建築指導部審査課監修:1986)は2,500分の1 京都市都市計画基本図について測量座標を軸にして一定面積に区割りした区画(東西4×南北3)を設け,各区画内の既存ボーリング地点に通し番号を付す整理方法を採用している。

京都市では市街地を東西2km×南北1.5kmの区画で図割りし,130葉の2,500分の1の都市計画基本図を作成している。各1葉の都市計画基本図を東西・南北0.5km間隔に区画すると,(東西)×(南北)=4×3=12のマス目ができるわけである。そして,0.5km四方の区画内に位置するボーリング地点に対して通し番号を付してデータ整理したのが京都市内ボーリングデーター集である。

ボーリング地点番号は(図葉番号)−(区画番号)−(通し番号)によって表している。区画番号は下図の通りである。例えば,「嵐山」の1枠の1番目のボーリング地点は55−1−1となる。

なお,島本町は京都市都市計画基本図作成範囲から外れた区域を有するため,ボーリングデータの中には同基本図の図葉番号の該当しないものが現れ,他区域と同様のボーリング地点番号を付すことができない状況を生じる。したがって,島本町内のボーリング地点は京都市都市計画図にもプロットしたが,ボーリング地点には10,000万分の1島本町都市計画図にのみ全域にわたる通し番号を付した。

ボーリングデータの収集状況は次のとおりである。

付図1(付図1−1−1付図1−1−2付図1−2−1付図1−2−2付図1−3−1付図1−3−2付図1−4−1付図1−4−2)の既存ボーリング位置図にプロットしたボーリング地点総数は840箇所である。

ボーリングデータを収集先別でみると,京都市内ボーリングデーター集(京都市住宅局建築指導部審査課監修:1986,資料1と呼ぶ)が圧倒的に多い。昭和52年度の京都地盤図ボーリング柱状図集(京都市:1977,資料2と呼ぶ)からも多数収集した。収集先別のデータ数を下の表に示す。

       プロット数   ボーリングデータ数

資料1     442      476

資料2     103      103

京都市ほか  52       62

向日市     141      149

長岡京市    42       57

大山崎町    30       30

島本町      30       91

計        840      968

既存ボーリングは,建築,道路,橋,上・下水道,井戸等の各種調査で行われたものであるが,今回収集したデータでは建築物基礎調査のボーリングデータが多かった。井戸のデータを除けばボーリングデータの深度は10〜30mで,20m以下が大勢を占める。

深井戸ボーリングデータは向日市28箇所,長岡京市17箇所,大山崎町5箇所,島本町8箇所などから計50箇所分を数えた。特に向日市の物集女付近に井戸データが集中した。井戸データは沖積面下の丹波帯中・古生層からなる基盤岩の深度分布を捉える重要な資料にする目的で収集したが,深度100m〜200mで基盤岩を確認していないものが多く,基盤岩が断層活動によって激しく落ち込んでいることが判った。

日本道路公団大阪建設局茨木工事事務所により実施された天王山トンネル東側坑口付近のボーリングデータおよび解析図は,金ヶ原断層に関する貴重な資料になった。

ボーリング位置図には資料1と資料2のデータは黒丸(●)でプロットした。他のデータは次の記号を用いて,識別できるようにした。

 一般土木調査ボーリング  :○

 深井戸ボーリング     :◎

ボーリングデータの分布をみると,山間部ではボーリング調査があまり施されていないため,ボーリングデータはほとんど得られなかった。一方,市街地では特に都市化の進んだ平野部や宅地造成地等に集中しており,データ分布の地域的な偏りを生じた。例えば,京都市西京区岩見の洛西ニュータウンでは都市計画基本図の0.5km四方の区画内に21箇所のデータがあったり,データ数0箇所の区画と14箇所の区画が接したりする状況となった。今回の調査では,これらのボーリングデータ,既存文献,空中写真判読,地表踏査結果等を合わせて,京都西山断層群を横断する6測線の地質断面図を作成して,調査計画策定のための資料とした。調査を実施した測線については調査結果も合わせて最終成果品(付図2)(付図2−1付図2−2付図2−3付図2−4付図2−5付図2−6)として作成した。作成した図面の縮尺は横1:2,500,縦1:500である。

地質断面図の位置は次のとおりである。

 1−1’断面  嵐山地区,新丸太町通り北側沿い

 2−2’断面  松尾地区,西芳寺川南側沿い,

 3−3’断面  樫原地区,新山陰街道沿い

 4−4’断面  樫原地区,新山陰街道南側沿い

 5−5’断面  向日市物集女地区,

 6−6’断面 長岡京市長法寺地区,