1−1 はじめに

京都西山断層群は京都盆地の西縁を画する断層群であり,京都盆地東縁の断層系とともに京都盆地の成立に関与し,第四紀の半ば頃から活動し,今後も活動すると考えられている。また,京都西山断層群は京都盆地西縁断層系ともよばれる。

京都西山断層群は北から樫原断層,西山断層(南部は神内断層に連なる),光明寺断層,走田断層,金ヶ原断層,天王山断層からなる。これらの断層群の中で,西山断層が最も早く(約100万年前)活動し始めた。その後,約50万年前には西山断層の活動は弱まり,断層活動が京都盆地内側に転移したと考えられている。

また,京都西山断層群は,北部では1830年(天保元年)の地震(M6.5)に関係した神吉−越畑断層,亀岡断層に,南部では1596年の慶長伏見地震(M7.5)で活動した有馬−高槻構造線に連なり,これらの断層と連動した活動によっても京都盆地内に大地震をもたらす可能性があると考えられている。

以上から,京都西山断層群は京都およびその周辺の地震防災対策上,重要な断層群であることがわかる。今回の調査は,京都西山断層群に関する各断層について,活断層の諸性質,すなわち位置,長さ,活動様式,活動度などを把握し,地震防災対策上の基礎資料を得る目的で実施した。

今回の調査は科学技術庁の地震調査研究交付金によって実施したものである。

京都市地域活断層調査委員会の方々にはさまざま議論をしていただき,また調査を進めるにあたって,ご指導をいただいた。

既存ボーリング他の資料収集については周辺各市町(京都府向日市・長岡京市・大山崎町・大阪府島本町),日本道路公団大阪建設局,(財)向日市埋蔵文化財センターのご理解とご協力を得ることができた。さらに,樫原断層トレンチ調査では京都市埋蔵文化財調査センターの指導と協力得ることができた。

これらの方々に深く感謝いたします。