基盤岩:丹波層群に属する頁岩主体層で構成され,著しく褶曲されている。
写真1 著しく褶曲する基盤岩(丹波層群)[撮影位置は図6に記載]
大阪層群:シルト〜粘土層あるいは砂礫層を主体とし,腐植質粘土や炭化物を挟む。珪藻化石分析では珪藻化石が検出されない結果となったが,いずれも非海成の堆積物と考えられる。堆積年代については,火山灰分析や花粉分析などより,前期更新世末期に推定された。また,基盤岩直上においては丹波層群起源の砂岩を主体とする基底礫層が認められる。
写真2 基盤岩直上に見られる大阪層群基底礫層[撮影位置は図6−1に記載]
火山灰:露頭観察および各種の分析結果より,大阪層群中に3枚の火山灰が識別された。それぞれ下位よりピンク火山灰,および光明池V火山灰,上桂火山灰などに対比される可能性の高い火山灰であり,これまでの地質情報と整合する結果として得られた。
写真3 上桂火山灰に対比される可能性の高い火山灰[撮影位置は図6−1に記載]
断層:調査地域の切土法面には複数の正断層が観察され,北西−南東方向の走向を示す。これらの断層は,法面の上部に露出する大阪層群に覆われていることが確認された。これより,ここで観察される断層群は,切土法面上部に見られる大阪層群の堆積時以降,活動していないと判断される。その具体的な年代については,分析結果より大阪層群海成粘土Ma2相当層準と判断される。
写真4 切土法面に露出する正断層[撮影位置は図6−1に記載]
図6−1 京都大学桂キャンパスDクラスター地区の地質ルートマップ:1
図6−2 京都大学桂キャンパスDクラスター地区の地質ルートマップ:2
写真5 基盤岩と大阪層群の分布状況(火山灰確認地点を含む)[第1露頭]
写真6 基盤岩と大阪層群に変位を与える正断層[第2露頭]
写真7 断層を覆って堆積する大阪層群砂礫層[第3露頭]