2−2−3 珪藻化石分析

珪藻は珪質の殻をもつ単細胞植物プランクトンの一種で,主に河川や湖沼などの淡水域と,河口,沿海,外洋などの汽水もしくは海水域に生息する。珪藻化石分析は堆積物中に含まれている珪藻化石を抽出し,堆積物生成当時の水域の環境を推定する方法である。

珪藻は水域の水温,塩分濃度,酸性度などの環境要因に対応した種類が,各々の環境許容範囲の中で生息している。抽出された珪藻化石を分析することによって堆積物生成当時の水域の環境を復元することができ,淡水成層か海水成層かの判定も可能となる。

@前処理

1g程度の試料を泥化させるために15%過酸化水素水に浸し,その後,石灰質分を溶解させるために塩酸処理を行い,水洗を繰り返す。蒸留水を加えて粗粒粒子が沈殿した後,ただちに駒込ピペットで沈殿した懸濁液を吸い取る。吸い取った懸濁液をカバーグラス上に適量移し,乾燥させ,封入剤(プルーラックス,マウントメディアなど)を使ってスライドグラスにカバーグラスを張り付けてプレパラートを作成する。

A珪藻化石組成

プレパラートを生物顕微鏡(200倍)で観察し,珪藻化石の準定量的な産出頻度と海生種および淡水生種の量比を調べ,堆積環境の推定を行う。