(1)断層の分布と性状

三峠断層は、「新編 日本の活断層(1991)」の中で、福知山市より丹波町付近まで達する30kmの断層とされていたが、本調査においても同様な断層として認識した。断層の走向は、西北西−東南東方向である。断層の活動に伴う地形変化や断層変位地形の調査から、三峠断層で高位段丘面に変位を及ぼしている箇所と明瞭な断層変位地形(河川の屈曲)が連続して確認できる箇所は、断層中央部の約8kmに限られていることを確認した。一方、断層西部および東部では、高位段丘面を変位させている箇所はなく、不明瞭な断層変位地形(断層鞍部)が連続している程度であることも確認した。この結果は、「近畿の活断層(2000)」によって述べられている断層の性状と同一意見である。さらに、今回収集した微小地震の分布からも、現在地震活動が発生しているのは、この8kmとほぼ一致している。以上のことより、三峠断層における比較的新しい時期の活動は、断層中央部の約8km区間に限られてはいるが、中央部以外の東部と西部がこの時期に全く活動していないということを示す証拠は得られなかったため、中央部の活動に伴って断層全体が活動する可能性も否定できない。中央部および東部、西部における断層の変位は概ね左横ずれであるが、高位段丘面に変位が現れている箇所では、北上がりの縦ずれも生じている。