P−1地点のある畑地は、空中写真判読から、東方で北流する谷が断層の左横ずれにより区切られた部分にあたる可能性が考えられたことから、表層の堆積物の確認のために実施した地点である。調査の結果、堆積物は周辺に分布する段丘堆積物(H面)と同質のであることが確認されたため、断層の横ずれについては不明のままである。
リニアメントと谷が交差する水田で実施したピット調査を広域でまとめた図面を図3−58に、調査によって得られた断面図を図3−65に示す。空中写真判読から推定した断層位置の南側(P−3〜5)では、背後の小丘に分布する基盤岩がGL−1〜2mほどで確認され、その上位には沖積堆積物がほとんど確認されなかった。逆に推定断層の北側(P−2、6)では、沖積堆積物の層厚が北側に急激に厚く変化しており、GL−5.0mまでの掘削では基盤が確認できなかった。
このことから断層による地層の変位が生じている可能性も考えられるが、殿田断層は曽根地区の変位地形から北上がりの運動センスが報告されており、当地区での結果とは逆センスである。また推定される断層位置の両側で、示準となる地層(基準面)がないため、単純に比較ができない。これらの結果が1測線の調査であることから、確認された堆積物の段差が断層によるものであるとは言い切れない。
また、P−3地点の段丘相当層(H面)に、火山灰と思われる堆積層が認められたが、火山灰分析の結果、火山灰の存在は確認できなかった(図3−61、表3−7参照)。
表3−7 中台地区P−3地点 火山灰年代測定結果一覧
図3−58 中台地区周辺調査位置図
図3−59 中台地区ピット調査結果(P−1地点)
図3−60 中台地区ピット調査結果(P−2地点)
図3−61 中台地区ピット調査結果(P−3地点)
図3−62 中台地区ピット調査結果(P−4地点)
図3−63 中台地区ピット調査結果(P−5地点)
図3−64 中台地区ピット調査結果(P−6地点)
図3−65 中台地区ピット調査結果及び断面図