図3−36 ボーリング位置並びに断面作成位置
1)調査結果
ボーリング調査を実施したP1−9の各地点では、下記のような地質構造が確認された。なお、採取した試料より作成したボーリング柱状図とコア写真は、巻末資料として添付した。
@ P−1
・0.00−0.30m
暗茶褐色を呈する粘土で、現在の耕作土である。
・0.30−2.50m
茶褐色から暗茶褐色を呈する砂混じりの粘土である。含水量はやや多く、全体的に砂を多く含む。部分的に礫が混じるが、特に2.30−2.35m付近には、細礫を多く含む。
・2.50−3.85m
赤褐色〜淡灰褐色を呈する砂礫である。含水量が非常に多く緩い状態である。含まれる礫は、風化した頁岩やチャートの角礫である。
・孔底
風化した頁岩で、黄褐色を呈する。
A P−2
・0.00−0.30m
暗茶褐色を呈する粘土で、現在の耕作土である。
・0.30−2.20m
茶褐色から暗茶褐色を呈する砂混じりの粘土である。含水量は少なく、よく締まっている。部分的に礫が混じり、赤褐色〜暗緑色の粘土や木片を含んでいる。
・2.20−3.20m
淡黄褐色を呈する砂礫である。含水量が非常に多く緩い状態である。含まれる礫は、風化した頁岩やチャートの角礫である。2.70−3.20m付近は粘土が多く、比較的締まった状態である。
・孔底
風化した頁岩で、黄褐色を呈する。
B P−3
・0.00−0.30m
暗茶褐色を呈する粘土で、現在の耕作土である。
・0.30−1.20m
暗茶黒色を呈する砂混じりの粘土である。含水量はやや多い。粘土を主体とするが全体的に砂が混じり、部分的に礫を含んでいる。
・1.20−3.30m
黄褐色〜赤褐色を呈する砂礫である。全体的に含水量は少ないが、2.20−2.30m付近では含水量が多く緩い状態である。風化した頁岩やチャートの角礫を含んでいる。2.60−3.30m付近は基質に粘土を多く含んでいる。
・孔底
風化した頁岩で、黄褐色を呈する。
C P−4
・0.00−0.30m
暗茶褐色を呈する粘土で、現在の耕作土である。
・0.30−2.00m
茶褐色から暗茶褐色を呈する砂混じりの粘土である。含水量は少なく、よく締まっている。部分的に礫が混じり、赤褐色〜暗緑色の粘土や木片を含んでいる。
・2.00−3.60m
茶褐色を呈する砂礫である。含水量が非常に多く緩い状態である。含まれる礫は、風化した頁岩やチャートの角礫である。2.00−2.80m付近は粘土が多く、比較的締まった状態である。
・孔底
風化および破砕を受けた頁岩で、暗緑色を呈する。
D P−5
・0.00−0.40m
暗茶褐色を呈する粘土で、現在の耕作土である。
・0.40−1.70m
暗灰色〜灰褐色からを呈する砂混じりの粘土である。含水量は少ないが比較的緩い状況である。粘土が主体であるが砂を多く含んでおり、部分的に礫が混じる。
・1.70−2.00m
暗灰色〜灰褐色からを呈する礫混じりの粘土である。含水量が多く緩い状態である。含まれる礫は、風化した頁岩やチャートの角礫である。
・2.00−2.80m
茶褐色を呈する砂礫である。含水量が非常に多く緩い状態である。含まれる礫は、風化した頁岩やチャートの角礫である。
・孔底
風化した頁岩で、黄褐色を呈する。
E P−6
・0.00−0.30m
暗茶褐色を呈する粘土で、現在の耕作土である。
・0.30−0.90m
褐灰色を呈する砂混じりの粘土である。含水量は少ないが、比較的緩い状況である。粘土が主体であるが砂を多く含み、細礫も少量含んでいる。
・0.90−2.35m
茶褐色を呈する砂礫である。含水量が非常に多く緩い状態である。含まれる礫は、風化した頁岩やチャートの角礫である。
・孔底
風化した頁岩で、黄褐色を呈する。
F P−7
・0.00−0.25m
暗茶褐色を呈する粘土で、現在の耕作土である。
・0.25−1.60m
灰褐色を呈する砂混じりの粘土である。含水量は少ないが、比較的緩い状況である。粘土が主体であるがわずかに砂を含み、木片を含んでいる。
・1.60−1.90m
灰色を呈する粘土混じりの砂礫である。上位に比べて含水量はやや少なく、締まった状況である。含まれる礫は、φ20mm以下の風化した頁岩やチャートの角礫である。
・1.90−2.60m
褐灰色を呈する礫混じりの粘土である。含水量が非常に多く、緩い状況である。粘土が主体であるが、φ50mm以下の風化頁岩やチャート礫を含んでいる。
・2.60−2.90m
灰黒色を呈する砂混じりの粘土である。含水量はやや多い。粘土中には有機物を多く含んでいるおり、木片も少量含んでいる。
・2.90−5.00m
茶褐色を呈する砂礫である。含水量が非常に多く緩い状態である。含まれる礫は、風化した頁岩やチャートの角礫である。5.00mの深度でも基盤岩には達していない。
G P−8
・0.00−0.35m
暗茶褐色を呈する粘土で、現在の耕作土である。
・0.35−1.50m
褐灰色を呈する砂混じりの粘土である。含水量はやや多く、比較的緩い状況である。粘土が主体であるが全体的に砂を多く含み、細礫も少量含んでいる。
・1.50−2.20m
褐灰色を呈する礫混じり粘土である。含水量は多く、緩い状態である。含まれる礫は、風化した頁岩やチャートの角礫である。
・2.20−3.60m
茶褐色を呈する砂礫である。含水量が非常に多く緩い状態である。含まれる礫は、風化した頁岩やチャートの角礫である。
・3.60−4.00m
茶褐色〜暗褐色を呈する頁岩である。風化作用によって角礫状になっている。亀裂を充填している粘土は確認できない。
・4.00−5.00m
暗緑色を呈する頁岩起源の風化岩である。含水量は少なく、風化作用および破砕作用によって粘土化しており、葉片状に薄く剥離する。
H P−9
・0.00−0.45m
暗茶褐色を呈する粘土で、現在の耕作土である。
・0.45−1.20m
褐灰色を呈する砂混じりの粘土である。含水量はやや多く、比較的緩い状況である。粘土が主体であるが全体的に砂を多く含み、細礫も少量含んでいる。
・1.20−3.40m
茶褐色を呈する砂礫である。含水量が非常に多く緩い状態である。含まれる礫は、風化した頁岩やチャートの角礫である。
・3.40−5.00m
暗緑色を呈する頁岩起源の風化岩である。含水量は少なく、風化作用および破砕作用によって粘土化しており、葉片状に薄く剥離する。4.10m以深は、原岩である頁岩の組織をわずかに残しているが、この部分でも指圧によって容易に砕ける状況である。
2)調査結果の解釈
ボーリング調査結果をもとにボーリング断面図を作成した(図3−37、図3−38)。これによると、各ボーリングポイントで上位から、層厚20−30cm程度の耕作土、未固結の粘性土、未固結の礫質土が確認され、その下位に基盤岩である丹波層群の風化した部分が確認された。これらの堆積物のうち、風化岩の上面は北に向かって深くなり、未固結粘性土の厚さも北に向かって厚くなることが確認された。また、本調査結果と高密度電気探査で推測された地質状況(粘性土、礫質土、基盤岩)を比較した結果、比抵坑値から推測した地質状況と非常によく対応することが確認された(図3−39)。西側のP−4地点では、ボーリング結果に比べて、全体的に比抵抗値が高く現れているが、これは西側に分布する基盤岩の丘陵に向かって、地下水位が低くなっているため、比抵抗値が上昇したと考えられる。東側のP−7地点付近では、低比抵坑部と粘性土の分布がずれているが、これは粘性土中に礫層を挟み、この礫層と下位の礫層との間の比抵抗値が高く表れたためと考えられる。本地点におけるボーリング調査のうち、北側3箇所は高密度電気探査によって確認された基盤の谷地形部分であるが、この3箇所のボーリングでは、表層部の耕作土および人工的な盛土以外は、基盤の上面に堆積した比較的新しい未固結の礫層しか確認できず、基盤に現れている谷地形の形成年代を堆積物によって特定するには至らなかった。
ボーリング調査で最下部に丹波層群の風化岩が露出した8地点のうち3地点(P−4,8,9)には、断層破砕帯と考えられる粘土化した基盤岩が認められた。このことから断層はトレンチを計画している水田の中を通っている可能性が高いと判断した。
図3−37 八栄東地区ボーリング調査結果及びNS断面図
図3−38 八栄東地区ボーリング調査結果及びEW断面図
図3−39 八栄東地区 比抵坑値とボーリング調査の対比