(3)三峠断層

三峠断層は、「新編 日本の活断層(1991)」では、福知山市東部から日吉町四ッ谷付近までの、延長30kmの活断層(確実度T〜V)として記載されている(図3−2)。しかし近年発行された「近畿の活断層(2000)」では、瑞穂町質志のみずほトンネル北方から、日吉町の高屋川西岸付近までの約8kmの区間が、活断層(確実度T〜V)として抽出されている(図3−9)。この違いは、確実度の捉え方の違いにも起因するが、「近畿の活断層」で活断層とした部分以外では、新期の地形(高位段丘)が変位を受けていないことが大きな理由となっている(「近畿の活断層(2000)」による)。

「植村(1988)は三峠断層の変位地形を抽出するとともに、質美地区で認められる断層露頭について記載をおこなった(図3−10図3−11図3−12)。また「吉岡ほか(1999)」、「地質調査所(1999;未公表資料)」では、質美地区においてトレンチ調査を実施し、最新活動時期が1,700年前以前と推定した(図3−13図3−14図3−15)。また「植村(1988)」の断層露頭は、三峠断層のリニアメントから離れていることから、断層露頭の断層は、三峠断層の主断層から派生した副次的なものである可能性を指摘した。「地震調査研究推進本部(2005)」は、三峠・京都西山断層帯の長期評価を発表した。その中で三峠断層は、延長26q、高角度の左横ずれ断層(北東側隆起の成分を伴う)とした。また信頼度は低いものの、今後30年間に地震が発生する確率を0.4−0.6%とし、わが国の主な活断層の中ではやや高いグループに属するとした。

これらの既存の文献からは、三峠断層は高位段丘面を変位させていることが報告されているものの、断層位置が基盤の山中を通るため、その活動年代などは依然明らかとなっていない。

  

図3−9 「近畿の活断層(2000)」による三峠断層周辺と活動評価 

図3−10 「植村(1988)」の抽出した三峠断層の変位地形1

図3−11 「植村(1988)」の抽出した三峠断層の変位地形1

図3−12 「植村(1988)」による質美地区の断層露頭

図3−13 「吉岡ほか(1999)」による質美地区平面図

図3−14 吉岡ほか(1999)」による質美地区トレンチスケッチ1

図3−15 「吉岡ほか(1999)」による質美地区トレンチスケッチ2