5−3−2 平均変位速度

F1断層では反射法地震探査(P波,馬路測線)でB反射面に約65mの上下変位が確認された。B反射面はボーリング調査によるシルト主体の地層(W−9層)に対比でき,W−9層中には約42〜45万年前のOda火山灰が挟在する。したがって,F1断層の42〜45万年以降の長期的な平均変位速度は0.14〜0.15(m/103年)である。

F2断層では地形測量から約2万年前に形成されたと推定されるL1面に1.5〜3mの上下変位量が得られた。F2断層の約2万年以降の平均変位速度は0.08〜0.15(m/103年)である。

F3断層では上盤側と下盤側で同一とみなされる変位基準が確認できなかったため,平均変位速度は得られなかった。

F1断層,F2断層およびF3断層が収束する保津町南方で,地形測量からL1面に6〜9.5mの上下変位が得られた。亀岡断層全体の平均変位速度は0.30〜0.48(m/103年)以上の可能性がある。ただし,保津南方ではF1断層,F2断層およびF3断層の詳細な分布が明らかになっていないため,保津南方のL1面の変位量が何を示唆しているのか,今後の課題として残る。