(3)断層による変位や変形構造

CMP360〜460付近にF1断層およびその撓曲帯が,CMP690〜720付近にF2断層およびその撓曲帯が,CMP1010〜1170付近にF3断層が分布する(図4−1−1)。

a) F1断層

F1断層は東側隆起の中〜高角度逆断層で,基盤岩上面に約160mの変位を与え,堆積層には明瞭な撓曲変形が認められる。F1断層による変形で,撓曲構造と背斜構造が形成され,背斜構造頂部の背後側の反射面は山地側(東)に傾動する。B反射面はF1断層により撓曲し,C反射面とD反射面はF1断層により変位もしくは撓曲している。A反射面は変形していないようにも見えるが,反射法地震探査の調査・解析精度を考慮すると変位を受けているか受けていないか判断できない。

b) F2断層

F2断層は東側隆起の高角度逆断層で,基盤岩や堆積層に5〜10mの変位を与えている。基盤岩と堆積層の境界は断層によりずれているが,C反射面とD反射面は撓曲しているように見え,B反射面の撓曲構造は不明瞭である。A反射面は撓曲しているようにも見えるが,反射法地震探査の調査・解析精度を考慮すると変位を受けているか受けていないか判断できない。

c) F3断層

F3断層は最も東側(山麓部)に位置し,基盤岩と堆積層との境界をなす東側隆起の低角度逆断層で,上下盤の基盤岩上面に約135mの落差がある。F3断層はP波速度の分布から,幅広く破砕された基盤岩の西端にあり,幅100m程度の断層として現れる。