(6)P6ピット(L1面,L=1.85m)

P6ピットは河原林地点のL1面で掘削した。掘削方法は深度0.85mまで人力で掘削し,深度0.85〜1.85mの1m区間をパーカッション式採土器で採取した。

a) 層相

P6ピットの地質は深度0.00〜0.12mが耕土,深度0.12〜0.80mが礫混じりシルトからなる崖錐堆積物,深度0.80〜1.25mが腐植質シルトからなる旧表土,深度1.25〜1.85mが礫混じり砂からなるL1面構成層である。(図3−4−12

b) 火山灰分析

深度0.55m以深で10〜20cm毎に試料を採取し,火山灰分析を実施した(図3−4−12)。

P6ピットでは,深度1.25m以浅では火山ガラスが15,000粒子中に50〜100粒子含まれるのに対し,深度1.35m以深では火山ガラスは15,000粒子中に数〜十数粒子含まれるのみである。深度1.25m以浅での火山ガラスの屈折率は1.497〜1.504(モード1.498〜1.499)のものと1.508〜1.510のものが混在し,前者はAT火山灰に,後者はK−Ah火山灰に相当する。一方,深度1.35m以深に含まれる火山灰はほとんどがAT火山灰からなる。深度1.25mを境としてK−Ah火山灰が増加していることがわかる。P6ピットでは火山ガラスの含有量が急増する深度1.25mを約7,300年前の鬼界アカホヤ火山灰(K−Ah)の降灰層準とした。