(4)P4ピット(L2−2面,L=1.65m)

P4ピットは馬路町のL2−2面(馬路)で掘削した。掘削方法はパーカッション式採土器を使用した。掘削深度は1.65mである。

a) 層相

P4ピットの地質は深度0.00〜1.20mはシルトおよび礫混じりシルト,深度1.20〜1.65mは礫混じり砂からなる(図3−4−10)。孔内から孔底までL2−2面(馬路)構成層であると考えられる。なお,遺跡調査により耕土を除去してあったため,表土および耕土は分布しない。

b) 火山灰分析

P4ピットでは10cm毎に試料を採取し,火山灰分析を実施した(図3−4−10)。深度1.1m付近を境としてそれ以浅で火山ガラス,火山灰起源の斜方輝石および角閃石の含有量が多くなり,特に角閃石の含有量は顕著に増加する。火山ガラスの形態はバブルウォールタイプのものが多い。また,新鮮な角閃石を含む特徴がある。火山ガラスの屈折率は1.494〜1.500(モード1.499〜1.500)のものと1.508〜1.515(モード1.510〜1.511)のものが混在する。斜方輝石の屈折率は1.703〜1.713(モード1.706〜1.707),角閃石の屈折率は1.671〜1.978(モード1.674〜1.675)を示す。AT火山灰やK−Ah火山灰も混在しているが,角閃石の屈折率測定を考慮すると三瓶大平山火山灰(SOh)が含まれている可能性が高いと考えられる。角閃石の含有量が増加する深度1.1mを約3,700年前とされるSOh火山灰の降灰層準と判断した。