(2)火山灰分析

保津地点ではKA−4孔の深度3.97〜4.10mとKA−5孔の深度4.55〜4.70mに明褐色の細粒なガラス質火山灰を挟む。これらの火山灰層の火山ガラスの屈折率測定と火山ガラスの形態観察などから,火山灰を指標火山灰と対比した。また,ボーリングコア試料を連続的にサンプリングして火山灰分析を行った。

a) KA−4孔(図3−3−12

KA−4孔の深度4.0mの火山灰は,200粒子中に164粒子の火山ガラスを含む。火山ガラスの形態はバブルウォールタイプのものが多く,火山ガラスの屈折率は1.497〜1.500(モード1.498〜1.500)であり,AT火山灰と判定した。

深度3.97〜4.10mのAT火山灰以浅では,AT火山灰の再堆積とみられる火山ガラスが多く含まれ,その他の火山灰はほとんど含まれない。深度3.97〜4.10mのAT火山灰以深では,火山ガラスや火山灰起源の鉱物はほとんど含まれない。

b) KA−5孔(図3−3−13

KA−4孔の深度4.6mの火山灰は,200粒子中に156粒子の火山ガラスを含む。火山ガラスの形態はバブルウォールタイプで水和したのものが多く,火山ガラスの屈折率は1.497〜1.500(モード1.499〜1.500)であり,AT火山灰と判定した。

深度0.8mには15,000粒子中に約500粒子の火山ガラスを含むほか,斜方輝石や角閃石も高率で含む。火山ガラスの形態はバブルウォールタイプのものが多く,火山ガラスの屈折率は大部分が1.509〜1.510を示し,K−Ah火山灰と判定した。ただし,地表に近いことからL1面形成後の風成層か,もしくはそれからのコンタミによる可能性が高いと考え,深度0.8mはK−Ah火山灰の降灰層準とはしない。

その他の深度では,火山ガラスや火山灰起源の鉱物はほとんど含まれない。