5m間隔で設定した測点に,地震計6個を直列接続した(グルーピングした)受震器を測線沿いに測点を中心に測線方向に前後約0.8mずつ離して設置した。グルーピングの一般的な目的は,@反射波の観測において大きなノイズである表面波(地表面近傍を水平方向に伝播する波)を減衰すること,A受震器の感度を増すこと,B測点間隔が粗いために生じる波数領域のエイリアス(波数が正しく定まらないこと)を防ぐこと−等である。
地震計の地面への具体的な固定は図3−2−2に示すように,植栽部等においては地震計下部に付属しているスパイクを利用して直接地面に突き刺す方法を,アスファルト舗装部においてはピックスタンドと呼称する専用の金属スタンドに地震計を取り付ける方法を用いた。
探鉱機はテレメトリ型のものを使用した。これは,増幅,A/D変換,スタック(垂直重合),コリレーション等を,受震器の近傍に設置したアンプボックス(RSU;リモートステーションユニット)で処理し,これら処理後のデータを収録(保存)のために観測本部内の探鉱機に伝送する遠隔処理収録システムである。受震点から観測本部内の探鉱機まで導くケーブル本数が少なく,多くの受震点のデータを同時に収録することが可能となっている。
使用するアンプボックス(RSU)は,4チャンネル(4受震点)分のデータ処理機能を有する。このため,4受震点(20m)毎にアンプボックスを設置し,アンプボックス間を1本のケーブル(DTC;デジタルテレメトリケーブル)で順次接続する。また,ケーブル接続したアンプボックス群の任意の位置で分岐させ,受震データのモニタおよび収録(保存)等のために観測本部内の探鉱機へケーブルを導く。受震器,アンプボックス(RSU),ケーブル(DTC)および観測本部内の探鉱機等の接続状況を図3−2−3に示す。なお,標準同時収録チャンネル数を80チャンネルとしたため,発震時には,発震点近傍400m区間の受震器でデータを収録した。
b) 発震テスト
本測定に先立ち,発震テストを行った。これにより収録記録長,標準垂直重合数(スタック回数;SN比向上のための同一地点における発震回数)等を決定した。
c) 本測定
所定の発震点に震源を配置した後,上記発震テストで決定した標準垂直重合数(スタック回数)分,発震を行うと共に,1発震点に対し,発震点近傍の約400m区間の受震点で観測する。観測された波形記録を,受震点近傍のアンプユニット(RSU)でA/D変換およびスタック処理し,その後,観測車内の探鉱機に転送する。観測車内では,モニタで記録の品質を確認すると共に,磁気テープ(8mmテープ)および収録装置のハードディスクに記録を保存する。なお,記録の品質が良くない場合には,直ちに再測定を行った。
上記作業を発震点および受震区間を10mずつ移動させながら順次記録を収録した。
なお,1発震点に対し,データを収録する受震点の配置,すなわち展開方法は,発震点が受震区間の端部に位置するエンドオンスプリッド展開法を基本とする。図3−2−4に発震点と受震区間の関係(展開法)および発震点移動に伴う受震区間の移動状況を示す。