(1)保津〜河原林

保津〜河原林では七谷川や北谷川および愛宕谷川による扇状地性のL1面が広く分布し西方に緩やかに傾斜している。撓曲崖はL1面を横断するように北西−南東方向で西側落ちの比高数mの崖地形として断続的に分布する。南端の保津南方では撓曲崖を挟んだL1面の比高は6〜9.5mとやや大きい。

a) 千歳町国分

千歳町国分ではL1面に幅30〜50m,長さ約200mにわたりほぼ南北方向で西側落ちの明瞭な比高2〜3mの撓曲崖が見られる。撓曲崖上盤側には背斜状の構造がみられ背斜軸の山地側(東側)ではL1面が山地(東側)に傾動する。

b) 千歳町毘沙門

千歳町毘沙門ではL1面に幅10〜50m,長さ約600mにわたり北西−南東方向で南西落ちのやや不明瞭な比高3.5〜4mの撓曲崖が見られる。L1面にはほとんど凹凸がないが撓曲崖の前縁部はやや入り組んでおり,崖地形の比高は北西から南東に向かって序々に大きくなる。さらに,北西側と南東側の変位地形との連続性もやや良くない。

毘沙門区生涯学習センター付近にはL1面に幅20〜40m,長さ約300mにわたり北北東−南南西方向の撓曲とその背後側にL1面の傾動(東向きの逆傾斜)が見られる。断層線はL1面西方の氾濫平野1面(fp1面)中を通過すると考えられる。さらにL1面の傾動(東向きの逆傾斜)の前縁には長さ約150mの北北東−南南西方向で東側落ちの比高約数mの逆向き低断層崖が見られる。ただし,この逆向き低断層崖は連続性があまりよくなく,側方に連続しない。

c) 保津町北方

保津町北方ではL1面に幅20〜30m,長さ約300mにわたり北北西−南南東方向の明瞭な比高1.5〜2.5mの撓曲崖が見られる。崖地形の比高は北部ではやや大きく,南部に向かって小さくなる傾向がある。

d) 保津町

保津町ではL2−1面に比高1m程度で西側落ちの不明瞭な比高約1mの撓曲崖がみられる。保津町北方のL1面の撓曲崖から連続性がよいためトレースしたが,@崖地形の比高が低いことと,A分布長さが70m程度と短いことから,やや信頼性が低く,浸食や土石流の堆積地形に起因する崖地形である可能性もある。

e) 保津町南方

保津町南方ではL1面に幅20〜50m,長さ約350mの南北方向で西側落ちの明瞭な撓曲崖がみられる。比高は6〜9.5mで,保津〜河原林に分布するL1面の撓曲崖中で最も比高が大きい。北方の保津や保津北方との断層線の連続性はよくなく,方向的にも斜交する。