地表に近い反射面Aは山麓で不確かな部分(CMP>1,000)を除くと、ほぼ測線全体に分布している。反射面Aは、文献調査、空中写真判読、ボーリング調査から七谷川扇状地堆積物基底面や桂川沖積堆積物基底面(T層基底面相当)と推定される。反射面A形成時期は、炭素年代測定値や火山灰分析結果から完新世以降の約7,000年前以降である。
反射面Aを詳細に見ると、CMP700〜750付近(F2断層帯)で起伏するが、他の区間では地形面にほぼ沿って分布し、10mを越える変位変形は認められない。P波探査の精度の制約上、それ以下の数m変位や変形については判断できない。本調査の反射面からは有意な最新活動の情報は得られなかった。
(2)反射面A以深について
F1断層上盤側頂部(CMP460)付近の撓曲上部の反射面を、断層下盤側のボーリング地点まで辿ると深度50m付近(標高46m付近)の反射面に繋がる。ここに分布する堆積物の年代値は解らない。深度32.6m付近には9万5千年前のK−Tzの産出が確かめられている(図3−5−2)。既に述べたように、このK−TZは降灰層準でないことから、この深度以浅の地層は9万5千年前以降の地層である。深度50mの堆積物はそれより約13m下位にあり、堆積速度が一定とすると約15万年前頃に堆積したものであると推定できる。従って、約15万年前以降にF1断層は活動したことが判る。上盤側ではこの堆積物より上位のものは浸食、削剥され、消滅している。故に、F1断層は少なくとも15万年前以降も活動していたが、それ以降の活動ついての情報は得られなかった。
(3)低位段丘面上の低断層崖
亀岡市毘沙門町、保津町などにF1断層に繋がる「盆地内の亀岡断層」の活動で形成された低位段丘上の低断層崖の最大比高は、約5mである。低位段丘堆積物中
からAT火山灰の産出が報告され、段丘面形成時(離水時期)は、ほぼ2万年前である。池田・東郷ほか(2002)「逆断層アトラス」(6)も同様の見解である。故に、F1断層の最新活動時期は約2万年前以降であることは確実であるが、本調査でその時期は特定できなかった。