層相の特徴や組み合わせ及び試料分析を参考に、表土を除いて、地質構成を浅部から深部の順に、T−V層に区分した。
A.T層(標高95.8〜84m)
T層は主として未固結の灰色の礫からなる地層で、上部と下部に未固結のシルトを挟む。最上部の細礫混じりシルトは、旧耕作土である。層厚は11.8mである。現桂川の氾濫原堆積物で、いわゆる沖積層(完新統の地層)に相当する。本層の大部分を占める礫は径10〜50mmの中礫で、基質は粗砂である。礫径は亜円―亜角礫である。礫種は砂岩が多くチャートを交える。礫は未風化である。標高93m付近、88.05〜87.3m付近に軟弱な暗灰色―灰色のシルトがある。細礫や砂を交え、僅かに腐植片が点在する。
B.U層(標高85〜59.6m)
U層は主として未固結の礫からなる。灰色―暗黄灰色の地層で、やや風化を受けた砂岩礫を一部に含むことからT層と、固結の程度やシルト―粘土の細粒堆積物を含まないことから下位のV層とは区別される。層厚は25.4mである。5〜30mm径の中礫が多い。亜角礫が多く、淘汰は悪い。礫種は砂岩、チャート、頁岩―泥岩、及び少量の火成岩である。基質は中―粗砂である。標高74m、67m、62m付近には層厚2〜4mで、コア径(86mm)以上の大礫を含む部分がある。また、径10mm以下の細礫の多い部分や粗砂が卓越する部分もある。
本層は、一部の風化を受けた砂岩礫の存在から、更新世後期の段丘堆積物と推定される。
C.V層(標高59.6〜−66.6m孔底まで)
V層は大礫混じり中礫を主体とする地層である。孔底まで続き、確認できる層厚は126.2mである。細礫から大・巨礫まで礫が混在する淘汰の悪い礫層である。コア径以上の礫径のものも多い。亜角−亜円礫で、礫種は風化を受けた砂岩、表面が溶脱し白色を示すチャートが多い。火成岩起源の礫は皆無に近い。本層は、標高36m付近で層厚1mの、標高3m付近で層厚3mの、標高−27.5m付近では層厚3mの固結した淡灰色シルト―粘土が挟まれる。順にV層上部シルト、中部シルト、下部シルトとする。後者(V層下部シルト)にはその前後に細礫混じり極粗砂があり、それを合わせると層厚は13.4mにもなり、本ボーリングコア中で最も特異な鍵層である。いずれも色調や藍鉄鉱の存在から、淡水成堆積物である。V層下部シルトには炭質物を含む部分がある。
本層は堆積物の固結度、色調などから大阪層群上部相当と推定される。