調査数量および調査内容:トレンチ調査:21×4〜8×2〜3(m)
スケッチ及び写真撮影
火山灰と土器片サンプリング
火山灰資料:29個
土器片:2個
調査結果:トレンチ断面観察
調査ボーリングB8(カ)−1とB8(カ)−2を規準にして低断層崖を挟むように、段差の上面と下面について、東西を長軸とし長さ21m、平均の深さ3mを掘削した。スケッチは北側断面、南側断面について整形・水糸張りを行い、1/20スケールとした。トレンチ断面図スケッチを図7−9に、トレンチ層序区分図を図7−10に、トレンチ断面の写真を図7−11に掲載した。
北側断面において連続して観察される層は背後の山地と七谷川から供給された扇状地堆積層(G層)と扇状地堆積層の上部に堆積した細粒のシルト層(E層)であり、当層において明瞭に変位さす断層は確認されなかった。ただ、扇状地堆積層の上面の傾斜はトレンチ21m中、約2mを上回る標高差が確認された。火山灰分析による明瞭に同定される結果は得られなかった。よって、当扇状地及びその上部のシルト層の形成年代は不明である。この傾斜は扇状地の自然傾斜に調和的であるものか、それとも、当調査付近一帯のテクトニックな運動によるものか、このトレンチ調査とボーリングを併用した調査では結論を得るには至らなかった。次頁に層序の記載をする。
層 序 区 分
人工改変土
A:耕土
B:礫混じりシルト層
淘汰の良い有機質シルトを主体とし、礫分は5パーセント以下。土器片をN15〜16の間に含む(図7−12)。KTE−1については縄文晩期(約3000年前)のものであり、KTE−2については縄文時代ものと認められた。旧耕土層と考えられる。
ユニット1(新扇状地礫層)
C:砂礫層
層厚0.4m.礫はφ2〜3cm程度のチャート・砂岩・頁岩の角礫〜亜角礫層。
D:礫混じり砂
層厚0.6〜1m。中位程度に締まる、粗〜中粒砂を主体とし、φ1cm 程度のチャート・砂岩・頁岩の角礫を含む。
ユニット2(旧扇状地礫層)
E:シルト層
チャート・砂岩・頁岩を極希に含む。層厚0.4〜1m。また、
F:礫層(チャネル)
E層中に2〜30cm程度の礫層(チャネル堆積物)を3層レンズ状に含む。
G:礫層
人頭大の礫を含む。礫分は90パーセント以上を示す、扇状地堆積物的な礫層。層厚1.5m。