調査数量および調査内容:トレンチ調査:12×4×2〜2.5(m)
スケッチ及び写真撮影
火山灰及び年代測定試料サンプリング
火山灰試料:39個
年代測定試料:2個
調査結果:トレンチ断面観察
スケッチは北側断面、南側断面について整形・水糸張りを行い、1/20スケールとした。トレンチ断面図スケッチを図7−4に、トレンチ層序区分図を図7−5に、トレンチ断面を図7−6及び図7−7に掲載した。
本調査では段丘礫層について活断層による明瞭な上下変位などは確認できなかった。トレンチ断面からは段丘礫層が桂川(大堰川など)による河川の削剥を受け、侵食された所に後背湿地的な有機物を多量に含んだ、細粒物からなるものが斜面に堆積したことが考えられる。この有機物について放射性炭素年代測定を行い、1万年より新しい堆積物であることが認められた。火山灰の分析からは明瞭に同定される結果を得ることはできなかった。よって、本段丘の形成年代に関しては不明である。ただ、低断層崖が大井川による側方侵食を受け、崖が後退したことも考えられる。下記に、層序の記載をする。
層 序 区 分
A:耕作土
ユニット1
B:腐植土(ピート)(層厚約1m)
下部50cmは有機物の分解していない色を呈し、植物片を多少残している。
上部50cmは有機物のやや分解の進んでいる色を呈し、植物片を希に残す。全体的に比較的淘汰の良いシルト層。含水中位。粘性中位。
C:砂礫層(層厚3〜20cm程度)
チャート、頁岩φ2〜3cmの亜角礫〜亜円礫を主体とする。マトリックスは淘汰の悪いシルト。フィンガー状構造を示す。
D:シルト層(層厚50cm程度)
淘汰の良いシルト・青灰色を示す。含水中位。粘性強。
ユニット2
E:礫層(礫分50%以上)
礫:礫形(亜円礫〜亜角礫)/礫径(2〜50mm・平均20〜30mm)/礫種(チャート・頁岩・砂岩)礫の淘汰はやや不良。
基質:淘汰の悪い砂混りシルト。
F:シルトと礫の互層
シルト:淘汰良し。
礫層/礫:礫形(円礫〜亜円礫)/礫径(2〜10mm・平均5mm)/礫種(チャート・頁岩・砂岩)礫の淘汰はやや良。
基質:淘汰の悪い砂混りシルト。
G:礫層(礫分60%以上)
礫:礫形(円礫〜亜円礫、時折、亜角礫)/礫径(2〜50mm・平均10〜30mm)/礫種(チャート・頁岩・砂岩)礫の淘汰はやや不良。
基質:淘汰が良いシルト質砂および砂質シルト。
ユニット3
H:層(礫分70%以上・泥分30%以下)
礫:A層とほとんど変わらない。
基質:砂・シルト・粘土分の混合で淘汰は悪い。
I:礫層(礫分80%以上・砂分20%以下)
礫:礫形(円礫〜亜円礫)/礫径(2〜50mm・平均20〜25mm)/礫種(チャート・頁岩・砂岩/チャート70%)
基質:淘汰(粒度の揃っている)が良い1mm程度の粗粒砂。