(4)清水町岩倉・麻生田地域

@ 清水町岩倉のバイパス付近の法面

清水町岩倉から熊本北高校付近のバイパス工事によって生じた切土法面に、凝灰岩および凝灰質礫岩等からなる金峰山火山岩類が露出していた。走向・傾斜が N 72°E・63°N の断層が凝灰岩や砂岩からなる金峰山火山岩類を切っているのが認められた(図3−1−15)。

この断層と立田山断層の関係について言及するまでの資料は得られていないが、分布位置や走向から考えて、立田山断層の派生断層の一つである可能性がある。

A 清水町バイパスの麻生田の露頭

清水町バイパス付近の地質図を図3−1−14 に示す。この露頭では下部に Aso−3 火砕流堆積物が露出し、その上に Aso−4 火砕流堆積物が分布している。Aso−4 火砕流堆積物の上には、鳥栖軽石流相当層(オレンジ色の軽石流)、褐色ロームおよび姶良火山灰(ATn)を含む黒ボク土が被覆している。断層は明らかに、Aso−3 火砕流堆積物、Aso−4 火砕流堆積物、鳥栖軽石流相当層および褐色ローム層を切っている。しかし、最上部の黒ボク層は切られていないようにみえる。断層位置からみて、この断層は派生断層の一つと考えられる。

断層は三条あり、その走向・傾斜は図3−1−16で向かって右側から N 70°W・58°N、N 84°W・58°N、E−W・80°N である。破砕の幅は小さく、2〜4 cm である。変位量は褐色ロームで約 100 cm であり、横ずれ成分は不明である。

この付近の断層活動は、少なくとも Aso−4 火砕流堆積物、鳥栖軽石流相当層および褐色ローム層堆積以降で、黒ボク堆積前まで継続していたことが理解される。