畑中川河床付近では下陳礫層が分布し、畑中川右岸山腹斜面はAso−1火砕流堆積物からなる。しかし、左岸台地の平坦面はAso−3・4間堆積物に覆われ、台地北側の小沢はAso−3火砕流堆積物が露頭する。
また、田中地区のボーリングではAso−4火砕流堆積物が厚く分布し、その下には上から薄いAso−3火砕流堆積物、Aso−2・3間堆積物、Aso−2火砕流堆積物、砥川溶岩の順に重畳する。このため、断面では台地のAso−1火砕流堆積物は浸食され、砥川溶岩、Aso−2火砕流堆積物やAso−3火砕流堆積物に覆われると推定した。また、Aso−3火砕流堆積物の基底は露頭の分布や台地の傾きから推定し、Aso−2火砕流堆積物の厚さは田中地区ボーリング資料から推定し、その下には、畑中川沿いの露頭から砥川溶岩が分布するとした。この分布は布田川断層の一つである南側断層で断たれている。より北側には、ボーリング結果からAso−3火砕流堆積物を不整合にAso−4火砕流堆積物が覆い、Aso−3火砕流堆積物は薄くなっているものと推定した。今回のトレンチの断層は布田川断層の分岐した北側断層である。
L2断面(平田地区)
畑中川河床付近にはAso−1火砕流堆積物が分布し、その右岸斜面はAso−3火砕流堆積物が分布する。Aso−1火砕流堆積物は露頭の形状から、L1断面と同じように浸食され、Aso−2火砕流堆積物やAso−3火砕流堆積物に不整合に覆われると推定される。
布田川断層の南側の断層を境に北側の台地はAso−2火砕流堆積物が厚く分布する。さらに北側は平田地区のボーリングや露頭から布田川断層の北側断層を経てAso−2火砕流堆積物の上にAso−3火砕流堆積物やAso−4火砕流堆積物の二次堆積物(Aso−4s)が分布すると判断される。また、これらの上にはL1面堆積物が薄く分布し、断層によって変位している。
なお、Aso−2火砕流堆積物の下は、ボーリング結果から薄いAso−1・2間堆積物を挟みAso−1火砕流堆積物が分布すると判断した。
北側断層によるAso−2火砕流堆積物の基底面は北落ち約60mに達する。
L3断面(三竹地区)
この付近の台地は金山川左岸の露頭から、Aso−3火砕流堆積物が厚く分布し、その下には下陳礫層が分布すると推定される。この地質状況は布田川断層の南側断層で切られ、断層の北側ではAso−2火砕流堆積物、Aso−3火砕流堆積物とL1面堆積物が下から重畳し、下陳礫層の分布は確認されなくなる。また、布田川断層の北側断層の北側のL3面堆積物の下はAso−3火砕流堆積物が分布すると推定される。この北側の断層はL1面とL3面の境をなし、両面間の比高は5m程度である。
図2−1−9 平田〜田中地区地質断面図
図2−1−10 平田〜田中地区空中写真判読図