○ Aso−2火砕流堆積物
本堆積物は平田の平田公民館横の北西−南東に走る町道に沿う沢の谷底から山腹斜面まで分布し、他には平田南の断層露頭のある小沢にも分布する。
Aso−2火砕流堆積物は、この地域で性状の比較的安定した堆積物で、非〜低溶結の黒色の中粒〜粗粒のスコリア流堆積物であり、スコリアは小さな発泡の多い無斑晶なものである。石質岩片は少ない。本層の表層は赤色化する。厚さは150m以上である。
○ Aso−2・3間堆積物
露頭は福田町民グランドと断層露頭のある小沢の中間の小沢にのみである。褐色の中〜大礫の亜角〜亜円礫を主とし、他にシルト、砂層が含まれる砂礫層よりなる。本層にはAso−2起源のスコリアを含む。露頭の規模からみて5m以上の厚さである。露頭の一部ではAso−3火砕流堆積物に覆われる。
○ Aso−3火砕流堆積物
本堆積物は上記のAso−2・3間堆積物の確認される小沢や福田町民グランドの山地内に露頭し、他に南側の丘陵地の頂部でも露頭があり、平田公民館横の町道から南の山地に広く分布する。
Aso−3火砕流堆積物の性状は安定し、黒灰色の細粒〜中粒火山灰中に多量の黒色スコリア、岩片、軽石が含まれる非溶結な火砕流堆積物である。スコリアは斜長石、輝石の斑晶を多く含む。Aso−2火砕流堆積物に比較し、やや明るい灰色を呈する。
福田町民グランド裏の沢では上部にサージ堆積物が見られる。
層厚は150m以上である。
○ Aso−4火砕流堆積物
調査地の東北端、平田公民館横の町道の北東の丘陵地に広く分布し、また、南西側の山地山裾部に分布する。
灰白色〜淡褐色を呈する細粒〜中粒火山灰で、白色〜灰色の軽石、岩片が含まれる。他に粗粒の角閃石の斑晶が多く含まれる。
風化すると全体的に灰色になり、軽石はつぶれて岩片が目立つようになる。さらに風化が進行すると暗褐色に変色し斜長石と角閃石の斑晶以外はほとんど粘土化している。
○ L1面堆積物
田中地区の皆乗寺裏のボーリングを実施した沢の左岸斜面から町立第5保育所にかかる北西斜面に多くの露頭が認められ、他に平田公民館横の町道の露頭でも確認される。
田中地区では中礫〜大礫サイズの亜角〜円礫よりなる礫層が多いが、保育所南側の露頭では砂、シルト層を挟む。
平田地区では砂礫層の上に砂層、砂質シルト層が分布する。層厚は5m以下であり、厚さ約1.5mの表土およびローム層に覆われる。
L1面は緩傾斜な堆積面であるが、田中地区の沢上部の左岸の墓地付近では比高2mから4mの北北東−南南西に連なる急崖で切られている。特に上部は安山岩の亜円礫からなる礫層が点在する。
○ L2面堆積物
L2面の堆積物の露頭は少ない。畑中の露頭では円礫からなる砂礫で、角閃石や軽石を多量に含んでいる。
空中写真判読結果から町立第5保育所の後背地の斜面の南西側に認められる緩斜面である。畑中川右岸のL2面の上にあるL1面にリニアメントとして判読した5〜6mの段差があり、その延長は、当L2面にも認められ、斜面中央では2m程度、下部末端では3m以下であり、やや不明瞭な段差をなしている。
○ L3面堆積物
布田川断層の北側に広がる緩傾斜を示す平坦面で、露頭は崖錐堆積物や黒色の土壌等の表土が見られるに過ぎず、層相は不明である。約1〜2mの表土およびローム層に覆われる。
○ 沖積層
現在の小沢に分布する堆積物で礫・砂・シルトなどよりなる。
畑中川付近では緩やかな平坦面であり、田中〜平田付近では山地内やL3面内の小河川の河床に分布する。この付近では1m前後の薄いものと推定される。