田中地区のトレンチや平田地区の露頭で、布田川断層の北側断層が 2.2 万年の ATn を切っていることから、最新活動時期は、約 2.2 万年から 6.3 千年前である。
2 変位量と平均変位速度
各地層や地形面の断層両側での高度差を断層の変位量となした。その結果、以下の平均変位速度を得た。
15 万年〜 9 万年 (垂直変位) 0.27〜1.1 m /千年 B 級断層
8 万年〜 2 万年 北側断層(垂直変位) 0.13 m/千年 B 級断層
2 万年以降 北側断層(水平変位) 0.25 m/千年 B 級断層
5 万年以降 南側断層(垂直変位) 0.15 m/千年 B 級断層
この結果、布田川断層帯の活動度は B 級である。
3 変位量と地震の規模
田中地区のトレンチ資料から、2.2 万年から 6.3 千年の間で、北側断層に 5 m の右横ズレ変位が生じた。この期間に 2〜3 回の活動があった。したがって、断層 1回当たりの水平変位は 1.7〜2.5 m となる。また、この断層の長さ 23.5 km から経験式を用いて求められる変位量は 2.3 m 程度であり、1 回当たりの変位量 は 2 m 前後とみなした。
また、この断層変位量から経験式によって求めたマグニチュードは、M=7.2 となる。 したがって、この断層からマグニチュード M=7 程度の地震が発生する。
4 活動間隔
この断層の最新活動年代は特定できないが、上述のように、2.2 万年から 6.3 千年間に 2〜3 回の活動が生じているので、活動間隔は 1.7 万年から 4千年の値となる。