火山灰を同定するために火山ガラスの屈折率測定を行い、測定には温度変化型屈折率測定法を用いた。
測定した試料は、高塚B地区トレンチの4層(有機質土)に挟まれる火山灰である。図3−9−1に火山ガラスの屈折率の頻度分布グラフを、表3−9−1に分析結果を示す。
図3−9−1 屈折率頻度分布グラフ
表3−9−1 火山灰測定結果
本試料に含まれていた火山ガラスは、薄板状のバブルウォール型のもので、屈折率n=1.501において計測個数が最大となる。屈折率の範囲はn=1.499〜1.503とやや広いが、この火山ガラスの形状・屈折率からは、本試料は姶良Tn火山灰であると考えられる。
図3−9−2に、今回の分析結果と代表的な火山ガラスの屈折率とを比較したグラフを示す。
図3−9−2 火山ガラスの屈折率グラフ
図3−9−2より、火山ガラスの屈折率を比較すると、本試料は姶良Tn火山灰とのみ屈折率の範囲が重複することが分かる。
以上より、この火山灰を姶良Tn火山灰とみなした場合、4層中に挟まれる砂層(火山灰層)の堆積年代は2.1〜2.5×104年と推定される。そしてこの年代は、14C年代測定結果から得られた4A層、4B層の年代とも矛盾しないものとなっている。図3−9−3に4層の堆積年代を示す。また、(写真3−9−1)に、本試料中から採取された火山ガラスの写真を示す。
図3−9−3 4層の年代分析・推定結果
(写真3−9−1) 火山ガラス(姶良Tn火山灰)の鏡下写真