3−8−4 花粉分析結果に基づくボーリングコアB−1、B−2、B−4の対比

今回分析を行ったB−1、B−2およびB−4ボーリングコア試料間の対比を、層相と花粉産出割合の変化の類似性を考慮して試みる。

B−1コアのOB−1−1〜OB−1−10、B−2コアのOB−2−1〜OB−2−6およびB−4コアのOB−4−1〜OB−4−3はいずれも円礫を含む暗〜暗青灰色の泥層である。花粉分析の結果では、B−4コアは花粉の産出が悪く比較検討できないが、B−1とB−2ではきわめて類似した産出状況である。すなわち、針葉樹全体の産出状況をみると、B−1ではOB−1−5付近にやや割合の高い部分があり、B−2ではOB−2−2付近に同様のことが認められる。これらの割合はともにマツ属の産出割合が多いことによっている。一方広葉樹では照葉樹を代表するアカガシ亜属とシイノキ属とを合わせた割合はOB−1−5付近およびOB−2−2付近でいずれも低率になっている。その他、イネ科および胞子の単条型の産出状況も両試料付近で傾向が類似している。なお、三条型ではおOB−1−9とOB−2−3〜OB−2−5にやや高率の産出が認められる。以上のことから、OB−1−1〜OB−1−10とOB−2−1〜OB−2−6は対比可能な層準であると考えられる。

B−1コアのOB−1−11〜OB−1−22、B−2コアのOB−2−7〜OB−2−14およびB−4コアのOB−4−4〜OB−4−8は、礫層の間の暗青灰〜青緑灰色の泥層でしばしば礫質である。これらの層の花粉産出状況を比較する。OB−1−14と−15、OB−2−8と−9およびOB−4−4〜−6はいずれもハンノキ属の顕著な産出で特徴づけられる。これらの直接上位層準からは花粉の産出が得られていないので、ハンノキ属の高率産出がこの層準に限定されるかどうかは厳密には断定できない。しかし、例えばOB−2−14付近ではハンノキ属は極めて低率となり、同様の傾向はOB−4−7でも認められる。また、アカガシ亜属とシイノキ属の産出状況は上記2層準で極めて低率から高率になる傾向が明瞭である。この傾向はOB−1では花粉産出状況が悪いので、明かではないが、ハンノキ属のOB−2とOB−4での傾向をOB−1に適用すれば高率産出の層準が互いに対比可能と考えられる。なお、この層準ではいずれのコアにもこの層準に限ってトウヒ属の明瞭な産出が認められる。この層準のうち、OB−2−14とOB−4−8では、針葉樹および照葉樹がともに低率から高率への明瞭な変化が認められ、これらの対比が可能である。