図3−4−1.に示すように、リニアメントの明瞭なものは、当地区では扇状地台地や高速道路を通過していることから、海側に認められるリニアメントの通過地点を挟んでボーリングを実施した。調査地点図を図3−4−1.に、また、ボーリング断面を図3−4−2に示す。
断面図に示すように当地区では、鍵層となるものは火砕流二次堆積物の砂層と泥炭層があり、さらに、ボーリングB−2の巻き貝化石を含むシルト層等がある。
火砕流二次堆積物の砂層は角閃石を多量に含むもので分級は良く、各ボーリング地点の深度4〜5mに、ほぼ地表面と調和的に分布することがわかり、本層には断層変位は読みとれない。また、本層はその水平的な堆積状況からAso−4本体との意見もあり、洪積世に堆積した古いものであると推定される。
泥炭層や貝化石は、深度10m以深に分布するが、これらの堆積年代を確認するため、14C年代測定を行った。結果は次のとおりである。
表3−4−1 岡町地区ボーリング試料年代測定一覧表
分析結果は、14C年代測定の測定限界を越えたものとなっており、調査対象とした地層は少なくとも洪積層であることが確認された。
当地区では、地層の対比及び断層を確認するために花粉分析を実施した。その結果、各孔で対比可能な層準は3層認められ、下位層準の対比線ほど標高差が大きくなることが確認されている。ただし、地層の堆積年代や標高差をあわせて考えると、岡町地区においては大きな変位が生じていないと判断し、ここでの調査は断念した。
なお、B−4孔で確認された貝化石は、14C年代測定法の限界に近い値(37,490±580年)が得られているが、その堆積時代(中期ウルム)、分布標高(−1m)、花粉による地層の対比結果等を勘案すると、測定値に疑問が残る結果となった。当地区の南方約1qの竜峯小学校の既往ボーリングでも貝化石の混じる地層の報告がなされているが、ここでは標高5m付近の地層から貝化石が分布しており、この点からも、やはりB−4孔の貝化石の年代分析値はスケールアウトしているのではないかと考えられる。
図3−4−1 岡町地区地質平面図(リニアメント位置含む)
図3−4−2 岡町地区地質断面図