(2)南部田B地区

当地区は南部田A地区よりさらに500m南の地区であり、空中写真判読ではA地区から延びる北東〜南南西方向のリニアメントは、当地区において2条に分かれている。

山側のリニアメントは、三宝寺の前面では高さ1mの崖であり、八幡宮神社のある尾根突出部前面の崖を通過し、さらに断続的ではあるが南方に向かって続いている。また、これより約25m海側にある高さ2m程度の崖も、道路法面となっているが同様に南に向かって連続する。

ボーリング調査は、土地利用の状況から海側のリニアメントを対象として調査を進めた。その結果は、図3−2−2−2に示すように、ボーリングB−1地点では基盤の花崗岩類に深度11.5mで着岩したことから、これより背後地においては基盤を大きく変位させる断層(日奈久断層本体)はないものと判断した。またB−1〜B−2間では、鍵層となる火砕流堆積物(Aso−4)が確認され、この2点間では全く変位が生じていないことが確認された。さらに海側に向かって2本のボーリングを行った結果、阿蘇火砕流堆積物の分布は、緩やかに傾斜する地形と調和的に分布していることが確認された。

当地区の南方約1km付近で行っている(財)原子力発電技術機構のボーリング成果では、断層により、Aso−4火砕流堆積物の上面及び下面がいずれも30m以上ずれているとの結果が得られている。その点を考慮すると、当地区の日奈久断層本体は、調査地点より海側に入ると判断せざるを得ないものとなるため、当地区での調査を終了した。なお、図3−2−2−3に(財)原子力発電技術機構の行ったボーリング結果を添付する。

図3−2−2−1 南部田A地区地質断面図

図3−2−2−2 南部田B地区地質断面図

図3−2−2−3 南部田地区地質断面図((財)原子力発電技術機構)