断面図に示すように、リニアメントを挟んで山手側の20m地点(BT−1)で行ったボーリングでは、深度10m付近から基盤岩に着岩した。基盤までの地層は粘性土、砂、砂礫、粘土等となっており、比較的ルーズで植物片も混じる新しい堆積物である。一方、海側25m地点のボーリング(BT−2)では深度11m〜13.5m間にAso−4火砕流堆積物の軽石砂礫が分布している。その上位の層準は粘性土、砂、砂礫、砂等であり、深度10m付近には有機質土が分布している。
当地区でのボーリング調査による地層の評価は、
・山側のボーリングでは基盤は扇状地の浅いところに分布している。
・基盤を覆う地層は植物片が混じるなど新しい堆積物である。
・海側のボーリングではAso−4火砕流堆積物が分布する。
・有機質土が分布する。
この中で鍵層となるのはAso−4火砕流堆積物であるが、断層が存在するとした場合、ボーリングBT−1地点での地層の評価としては、Aso−4は侵食されて消失し、基盤より上位のすべての層準はAso−4の下位層としなければならない。しかし、植物片が混入するルーズな堆積物が分布することなどから判断すると、この点は考え難い。そのため断面図に示すような、Aso−4火砕流堆積物が、基盤に自然にアバットする形で分布している(断層は存在しない)との解釈が自然であると考え、この地区での調査を終了した。