3−10−8 活断層の解析結果

これまでの調査結果は、図3−10−6−1の総括図に示すとおりである。U層の区分については、年代測定の結果より、欠損(時間)の存在することが推定されるため、上部をUa層、下部をUb層として地層境界を示している。

14C年代測定を行ったのはV層から上位の地層であり、下位のW層を姶良Tn火山灰とすると、W層の年代は22,000〜25,000yBPとなる。V層の腐植土の示す年代は約16,000〜10,000yBPである。上位のUb層(PC−1孔)の年代は約10,000yBPであり、Ua層(PC−2孔)の約3,800yBPとは開きが生じている。T層は下部が約1,350yBPであり、上限は海底であり、現世堆積物となる。

図に示す地層境界より、断層活動を示唆しているのは、Ub層の堆積状況であると考えられる。Ub層が分布するのは断層の降下側(PC−1)のみであり、これが断層によるクサビ型の凹地を埋めるように堆積している。上位のUa層を含め、他の地層は断層の両側に分布が確認され、かつ層厚変化等に顕著な異常は認められない。従ってこの断層は、V層の堆積後に一度活動してPC−1側が降下し、その凹地をUb層が埋積したものと考えられる。上位のUa層は特に異常が認められないことを考慮すると、この断層の活動時期は、V層の堆積が終了した約10,000yBP以降であり、Ua層の堆積が始まっている3,800yBPよりは前であったと推定される。