3−10−1 音波探査仕様
音波探査については、音波探査機((株)) KAIJO 製、SP−3 W 型地層探査機)を用いた。この探査機の全重量は 450 kg で、最大のユニットは 100 kg を越えるため 4 人以上の人員か小型クレーンが必要である。小型船舶へは、磁歪効果を利用した送波器と受波器(ハイドロフォン)を船殻を遮音体として両舷へ取り付ける。遮蔽効果を上げるためには喫水が深い木造船の方が望ましい(今回用いた調査船は約 1.5 t の木造船である)。記録は、30 cm 幅の放電記録紙を用い 0.5 秒間隔の送信パルスと同期したタングステンの針により描かれる。音波の伝播速度は 1,500 m/秒と固定されており、アナログ記録される。水平方向の距離は船舶の航行速度によるが、今回の探査速度は時速約 5 ktであるので 2 cm が約 250 mにあたる。断層による反射面のずれからとらえられる分解能は約 10〜20 cm で、これより小さな変位の読みとりは不可能である。この装置では実際上 100 m 以浅の浅海域の活断層の調査が可能であり、堆積物が未固結の砂粒以下の粒子から構成されていれば、その堆積構造を最大深度 50 m まで観察可能である。さらに比較的高い周波数(通常 4〜8 kHz)を使用するため解像度がよく、断層活動を調査する上で十分な精度であると言える。ただし一般に、粗砂以上の粗い堆積物では音波が地層中を透過せず、良質な記録を得るのは困難である。また堆積物中にメタンガスなどのガス層がある場合は、音波が散乱して記録が不明瞭となる。さらに波浪が大きいと調査船が上下し海底面が波打つ記録となる。以上のような悪条件を除くことができれば、解像度の高い記録が得られる。航路の決定および活断層の正確な位置を知るために 5 つ以上の人工衛星を用いて位置を決定するGPSを 2 台使用し、5 分間隔で、船舶の緯度・経度を縮尺 1/25,000の地図に随時プロットした。