6 歴史地震による高知市の地震動特性
日本列島周辺には,世界中で起きる大地震の約1割が集中しており,日本は世界でも指折りの地震国である。巨大地震の引き金になるプレ−トの境界が日本周辺で交錯している他,活断層も多くあり高知でも本委員会で活断層の調査を行っている。地震による被害は他の災害と比べて甚大であるため,あらかじめどの程度の強さの地震動がどれくらいの頻度で来襲するのかを求めておく必要があるが,設計に用いる観測波形が得られていないため,本論では高知市における危険度解析を検討する。危険度解析とはある注目地点に将来の一定期間に来襲すると考えられる地震動の特性を予測する手法1),2),3)である。 地震の震源過程に関する研究が進み, 限定される地震の断層モデルを確定し,これを用いてアスペリティ比などを決めて,地震動を予測する手法も一種の危険度解析であろう。地震危険度を評価するのは,過去に起こった地震を説明するのでなし,将来生じると考えられる地震に対する対策である。しかしながら地震予知とは違う。地震予知が地震発生の時間,場所,大きさを求めるのに対し,地震危険度は,いつ地震が生じるかという難しい問題で50年とか100年間を考え,場所 と大きさを統計確率的に処理したものである。この方法を用いて,どの程度の地震動(加速度,速度,変位)が生じるかを再現期間と地震動強さの期待値を用いて予測する。