基盤岩の落ち込み位置(断層の可能性がある)は,地形的に判読されたリニアメントの位置より北側にあり,70mから100m離れている。開析谷を埋める未固結堆積物のうち沖積層 や洪積層(上部更新統)の上面には断層による変位は見られず,堆積面はほぼ水平ないし,非常に緩い傾斜となっている。したがって仏像構造線は,活断層である可能性は低く,仮に活断層であってもその変位速度は非常に小さいと考えられる。
吉良川断層は,地質的には断層であることは明瞭であるが,段丘面や沖合海底の未固結堆積に変位が全く見られず,活断層の可能性は低いといえる。
行当岬断層は,断層活動の変位の基準となる段丘面の対比に問題があり,対比の仕方によっては全く高度差が認められない(つまり断層変位がない)。段丘堆積物が乏しく,堆積物による対比が困難であり,現在の地質学的手法では,どちらとも断定できない状態である。しかし活断層としての断層変位地形が全く見られないことから,従来の対比が間違っている可能性が高く,活断層の可能性は低いと考えられる。吉良川断層・行当岬断層については確実度V,活動度C以下とするのが妥当と考えられる。
盲道谷断層は今回の調査で活断層でないことが明らかとなった。