4−3−3 吉良川断層上の鞍馬谷治山工事現場における断層破砕帯

吉良川町大平の北西には,活断層研究会(1991)にも記載されているように尾根鞍部の連続する断層地形が明瞭にみられる。これら尾根鞍部のうち西南端に位置する尾根鞍部の北東側斜面は昭和55年頃から斜面崩壊が起こり,崩壊の規模は毎年拡大している。このため平成2年度から高知県安芸林業事務所において治山事業が実施されている(図4−5調査位置図参照)。

工事現場では尾根鞍部の北東側の谷頭部から大規模な斜面崩壊がみられ,砂防堰堤のために掘削された沢底や斜面中腹部には幅約30mにわたって暗黒色の断層破砕帯が分布している。破砕帯は北東南西方向へ延びる。破砕帯周辺の地山は四万十層群の頁岩砂岩の互層からなり,破砕帯部分は粘土混じり角礫状で特に頁岩の破砕が著しく,雨が降り水を含むと著しく強度が低下し,粘土化しやすい。以下,図4−8位置平面図(縮尺1:2,000)と現場写真を示す。