採取された試料の観察は高知大学理学部の岡村教授にも鑑定いただいた。鑑定結果は図3−6、図3−7に柱状図として示す。
バイブロコアリングは,掘削方法からわかるように100%コアが採取されないで,脱落したり,圧縮された場合は試料の正確な採取深度が不明となる。今回の調査では100%採取されたコアはV−2だけでその他70%以上採取されたのはV−4,V−7孔でこの2孔についてはほぼ正確な採取深度と考えられる。
今回のバイブロコアリングにおいてはいずれの孔においても深度7〜8mで貫入抵抗がきわめて大きくなることやV−2,V−7孔の先端で基盤の四万十層の頁岩や玄武岩が採取されていることから各孔でこの深度(7〜8m)で基盤岩に達していることが推定され,このことは電気探査結果とも調和的である。
採取された試料の観察結果によると表層の5mほどの堆積物は,粒度の揃った含水の多い,砂層が多く含まれ,そのほかシルト〜粘土層からなり,植物遺体を多く含む層準もいくつか認められる。したがって堆積環境としては海浜〜海岸近くの後背湿地の堆積環境が推定される。深度5〜7m付近に径3〜5pの珪長質の亜角礫〜亜円礫を含むよく締まった礫層を含む層準があり,明らかに沖積層とは異なる層々からなり,洪積層(上部更新統)と考えられる。
以上のようにバイブロコアリングを行った範囲では基盤の出現深度はほぼ水平であり,断層による基盤岩の食い違い(落ち込み)はなく,断層の位置は調査地点のさらに北側に位置するものと推定された。そこで図3−3に示すように北側の2カ所でロータリー式ボーリングによるコアリングを実施した。