一方,伏在活断層上で実施されたボーリング調査では,いずれも表層部の沖積層あるいは低位段丘相当層など第四紀後半の地層が,断層上の広い範囲で地下の断層変位を反映したと考えられる変形構造が認められた。
図3−10 は,今回の調査を加味して神戸市地域の活断層のうち第四紀後半以降にも活動している可能性の高い活断層を示したものである。これらの断層の活動度を表す指標である平均上下変位速度は,個々にはいずれもB級 ( 1.0〜0.1 m/1000年)であることが判明した(表3−1) 。平均上下変位速度の求め方と具体例については本文末尾の (付) に添付した。
しかし,当地域のように複数の活断層が並走したり分岐したりする際には,個々の断層だけの評価にとどまらず全体の評価が必要と考えられる。したがって, 将来の活動予測についてはさらに検討が必要である。
表3−1 主な活断層の第四紀後半以降の平均上下変位速度
図3−10 神戸市地域の活断層評価図
(付) 平均上下変位速度の求め方と具体例
断層の平均変位速度を求めるにあたっては,断層による地層の食い違い量と地層の年代値が必要となる。今回の調査では,水平方向の変位量を判読することが困難であったため,上下方向の変位量のみ評価対象とした。
断層による地層の食い違い量は,図1に示した要領で求め,地層の年代値は,兵庫の地質(1996) の層序表の年代値を引用した (表1)。
表1 神戸周辺の未固結堆積層中の代表的なタイムマーカー
兵庫の地質(1996) による