神戸市では, 平成8年度にC' 地区(東灘区岡本)において2本のボーリング調査を実施し,この地区に地表にまで延びる活断層が存在する可能性の高いことがわかった。今年度は,活動性を定量的に把握するため,さらに5本のボーリングを実施した(写真2−6, 図2−14,図2−15)。
調査の結果, 断層推定位置をはさんで山側 (隆起側) では, 地表付近まで大阪層群に相当するとみられる良く締まった砂・シルト層が出現したのに対し, 海側 (沈降側) では, AT火山灰(約 24000年前の広域テフラ)を含む締まりの緩い砂礫層が分布していることが確認された(図2−16)。
図2−17 は,AT火山灰層は断層に近づくほど分布深度が急速に浅くなること, 採取されたコアの観察による地層の傾斜角,14C年代情報を総合して推定した地層断面図であり,断層が地表にまで延びている可能性が極めて高いと判断される。この断層によるAT火山灰層の上下方向の変位量は, 12m余りに達する。
写真2−6 C' 地区ボーリング調査地点全景
図2−13 C' 地区調査位置 (a)および反射法地震探査によって推定された地質断面 (b)
図2−14 C' 地区ボーリング調査地点と断層推定位置
図2−15 C' 地区ボーリング調査地点見取り図
図2−16 C' 地区ボーリング調査結果
図2−17 C' 地区推定断面図