3−1−4 諏訪山断層・布引断層
諏訪山断層は,神戸市市街地と山地部とを境する断層である。地形的にはみごとに直線的な断層崖をつくって,NE−SW方向に延びている。従来地形的には推定されていた断層であるが,山陽新幹線六甲トンネル掘削によりその存在が確認された。トンネル内の露頭では,上盤の花崗岩角礫を含む断層粘土が,下盤の大阪層群に低角にクリープし,一見低角度衝上断層を思わせるが,新神戸駅建設現場では,垂直の断層面が現れた(写真3−5 )。写真とスケッチで示したように,破砕された花崗岩の断層面に接する河床礫の幅30pにわたる部分で礫の長軸が垂直に立ち,明らかに礫が断層運動に伴って回転したことを物語っている。この河床礫は現生田川の扇状地の礫であることは確実である。これによって諏訪山断層が沖積層をも切断していることが明確になった。さらに本断層に沿って右ずれ変位地形がみられる。これは今では不明瞭になってしまっているが,昭和24年撮影の空中写真にはっきり出ている(写真3−6)。
諏訪山断層は六甲トンネル掘削と新神戸駅建設工事に伴って,多くの資料がえられたが, これらを総合してその断面を概念的に画いたのが, 図3−8である。
図3−8 諏訪山断層概念図
写真3−5 新神戸駅工事中に現れた諏訪山断層の露頭
写真3−6 空中写真に見る諏訪山断層崖と右横ずれ変位を示す川の屈曲及び布引のリニアメント