1 調査概要
神戸市街地には,阪神・淡路大震災を引き起こした淡路−六甲断層系のうち,須磨断層,会下山断層,諏訪山断層, 五助橋断層などと命名された活断層が位置している。ただし, 兵庫県南部地震ではこれらの活断層が活動したかどうかは現在でも不明確である一方, 震災後, 兵庫県や地質調査所で実施され反射法地震探査などからは, これらの 活断層以外にも, 神戸市街地の地下には, 大倉山断層や王子断層, 和田岬断層などの活 断層が伏在していることが明らかにされた (兵庫県活断層調査委員会, 1996) 。また,1996年秋に刊行された都市圏活断層図においても, 地表にまで変位・変形を及ぼしている活断層の存在が指摘されている。しかし, 全地域が隈なく調査されたわけではなく, 断層のとおる場所 (伏在活断層の場合には断層変位は地表にのびているわけではなく撓 曲構造を呈することが多い) が必ずしも全く詳しくわかったわけではない。さらに, 今回の地震でどの断層が活動したのか特定されていない上, 最近の活動時期についてもよくわかっていない状態である。今回の活断層調査は, 神戸市域において,伏在活断層の位置の不明瞭な地域を対象として活断層を含む地下構造を解明すること, さらに主な活断層について最近(第四紀後期)の活動を明らかにすることを目的として, 以下の要領で実施した。
〔件名〕 六甲断層帯(神戸市域)に関する調査
〔調査工期〕 平成8年12月20日〜平成9年3月31日
〔調査担当〕 (財)建設工学研究所
主任技術者 田中 茂
〔調査数量〕 調査数量は表1−1−1、表1−1−2、表1−1−3, 調査位置は図1−1に示した。
表1−1−1 調査数量一覧表
表1−1−2 現地調査内容一覧表
表1−1−3 ボーリング関連調査数量内訳表
図1−1 調査位置図
なお,当活断層調査は,神戸市地域活断層調査委員会(表1−2) の指導, 助言のもとに進めた。
表1−2 神戸市地域活断層調査委員会の構成