6−3−2 年代測定試料

Ub層とUc層上部中から、弥生時代末期(3世紀)の土器片を採取した。炭素同位体法による年代測定試料は、各層順から採取することができた。N面では、Ub層・Va層・Vb層・W層中から、それぞれ2試料・3試料・1試料・3試料を採取した。S面においては、Ua層・Ub層・Uc層・Va層・Vb層・W層中から、それぞれ4試料・3試料・1試料・4試料・6試料・3試料を採取した。このうち、event発生時期を推定する上で重要と思われる13試料の年代測定を実施した。(表6−3)。 本トレンチでは、現在の所、地層の堆積年代を知る上で有効な、火山灰は検出していない。

Ub層・Uc層からは、それぞれ1,310yBP・2,300yBPの年代測定値を得た。Uc層上部より上位の層準から弥生末期の土器片を採取していることから、Uc層は2,300yBP以降に堆積したと考えられる。

Vaの年代値は、2,250yBP・2,440yBPである。Vb層は3,980yBP・9,810yBP・11,880yBP、W層の年代は、11,370yBP〜12,830yBPである。Vb層の3,980yBPは、Vb層最上部の腐植層中の炭化木片から得られた値であり、約4,000yBPにVb層の堆積が終了した可能性が高い。Vb層の最も古い年代は、W層の年代とほぼ同程度であるため、再堆積したW層中の木片を採取した可能性が高い。Vb層から得られた年代のうち、これに次いで古いのは9,810yBPである。W層の年代測定値が12,000yBP前後に集中することから、9,810yBPは再堆積した木片の年代ではなく、Vb層の時代を直接示すと考えられる。

以上述べたように、U層は約2,300yBP以降に、Va層は約2,300yBP前後に、Vb層は10,000yBP〜約4,000yBPに堆積している。これらは完新統である。W層は最終氷期後半以降の、約11,000〜13,000yBP前後に堆積したと推定できる。

表6−3 年代測定値(母原地区)