6−2−2 年代測定試料

V層上面から江戸時代末期の唐津焼の破片を採取した。また、炭素同位体法による年代測定試料として、V層上部から木片を(N1/2)、Wa層上部から木片を(E2.5/2.7)、Wb層から腐植を(E2.6/3.3)採取した。これらの試料すべての年代測定を実施した(表6−2)。本トレンチでは、現在のところ、地層の堆積年代を知る上で有効な、火山灰は検出していない。

U層の年代測定は行っていないが、その下位のV層上面に江戸時代末期の陶器の破片が混入することから、その時代は、江戸時代以降であることは確実である。

V層中からは、2つの木片を採取し、1,630yBP・4,630yBPの年代値を得た。このうち、古い値は、後述のWa層中の木片の年代値と酷似することから、古い木片が再堆積した可能性が高い。したがって、V層の年代は、約1,600yBPであると考えられる。Wa層・Wb層からは、それぞれ4,490yBP・31,150yBPの年代値を得た。

本トレンチ壁面に出現した地層は、最終氷期後半の約32,000yBP〜江戸時代までに堆積したものである。V層は約1,600yBPに、Wa層は約4,500yBPに、Wb層は約32,000yBP前後に堆積したと推定される。Wa層とWb層との間には、比較的長い堆積間隙がある。

表6−2 年代測定値(志井地区)