6−1 上富野地区

本トレンチ地点は、北九州市小倉北区上富野である(図3−2図3−5図3−21)。小倉東断層が通過すると予想される、L面の開析谷底である。ここでは、断層変位を被っている地層とともに、断層変位を覆う地層も観察することができ、小倉東断層の最新活動時期を特定できると予想した。

トレンチは、断層線にほぼ直交する方向(WNW−ESE方向)に、L面を刻む開析谷の南側の谷壁に沿うように、畑地の中を掘削した(図3−5)。トレンチの長さは約14m、幅は10m(トレンチ床は6m)、最大深度は約3mである。トレンチ壁面スケッチは、図6−1に示す。以下の記載においては、北側の壁面をN面、南側の壁面をS面、東側の壁面をE面と呼ぶ。N面が谷底の中央部に近い所、S面は谷壁にあたる。

壁面での記載位置は、N5−5.5/1.8などとし、/ の前は水平位置(東から西へのグリッド番号)、後は垂直位置(垂直方向のグリッド番号)とする。グリッドの間隔は、0.5あるいは1mである。記載位置の表記方法は、上富野地区だけでなく、後に述べる志井地区・母原地区のトレンチ調査結果においても共通である。