6−1−2 年代測定試料

本トレンチでは、現在のところ、地層の堆積年代を知る上で有効な、火山灰は検出していない。炭素同位体法による年代測定試料として、木片や炭化木片を各層準で多数採取した。N面では、�Ua−c層中から9試料、�Ud層中から3試料、�V層中から2試料を採取した。N面の�W層中からも、炭化木片を採取した。S面では、�Ua層・�Ub層・�Uc層・�Ud層から、それぞれ4試料・2試料・1試料・1試料を採取した。またE面では、�Ub層・�Uc層・�Ud層から、それぞれ1試料・6試料・1試料。これらの試料のうち、event時期を知る上で重要と思われる10試料の年代測定を行った。

それらの年代測定値を表6−1に、試料の採取位置は図6−1−1、図6−1−2に示す。�Ua層は砂礫混じりの腐植層であり、その中の炭化木片から、560〜980yBPの年代を得た。

その下位の�Ub層(腐植層)の14C年代は700yBPであるが、�Ua層の年代の一部とは逆転している。�Uc層中の炭化木片の年代は2,120yBPであり、その下位の�Ud層の年代(1,160yBP、1,200yBP)より古い。谷底面を構成する�V層からは、1,780〜2,180yBPの年代値を得た。

�Ua層と�Ub層の年代に関しては、若干の逆転はあるものの、ほぼ500〜1,000yBPに堆積したものであると考えられる。�Ud層からは2試料を採取したが、その内の試料Geo−4870は、より上位の層準から伸びる根である可能性が高い。また、試料Geo−4869は腐植であり、若い炭素によって汚染されている可能性が高い。年代値の信頼性としては、�Uc層中の炭化木片の方が高いと思われる。したがって、�Ud層の年代値は、実際の値より若く出ていると考えられる。

�V層から得られた1,780yBPの年代測定値も、上位の層準から伸びるやまももの根を採取しており、�V層の年代値としては炭化木片から得られた2,160yBP・2,180yBPのほうが信頼できると考えられる。

このように、トレンチ壁面の地層は完新統であり、�Ua層・�Ub層は約1,000yBP以降に、�Uc層〜�V層は約2,200〜2,000yBPに堆積したと推定できる。

表6−1 年代測定値(上富野地区)