それらの年代測定値を表6−1に、試料の採取位置は図6−1−1、図6−1−2に示す。Ua層は砂礫混じりの腐植層であり、その中の炭化木片から、560〜980yBPの年代を得た。
その下位のUb層(腐植層)の14C年代は700yBPであるが、Ua層の年代の一部とは逆転している。Uc層中の炭化木片の年代は2,120yBPであり、その下位のUd層の年代(1,160yBP、1,200yBP)より古い。谷底面を構成するV層からは、1,780〜2,180yBPの年代値を得た。
Ua層とUb層の年代に関しては、若干の逆転はあるものの、ほぼ500〜1,000yBPに堆積したものであると考えられる。Ud層からは2試料を採取したが、その内の試料Geo−4870は、より上位の層準から伸びる根である可能性が高い。また、試料Geo−4869は腐植であり、若い炭素によって汚染されている可能性が高い。年代値の信頼性としては、Uc層中の炭化木片の方が高いと思われる。したがって、Ud層の年代値は、実際の値より若く出ていると考えられる。
V層から得られた1,780yBPの年代測定値も、上位の層準から伸びるやまももの根を採取しており、V層の年代値としては炭化木片から得られた2,160yBP・2,180yBPのほうが信頼できると考えられる。
このように、トレンチ壁面の地層は完新統であり、Ua層・Ub層は約1,000yBP以降に、Uc層〜V層は約2,200〜2,000yBPに堆積したと推定できる。
表6−1 年代測定値(上富野地区)