(2)志井(L2)

この地域は断層活動により生じたと推定される地形の段差が明瞭に見られる地域であり、電気探査もこの段差を横切るような測線で行われた。L2−1測線では、測点(電極番号)45〜65の間に40Ωm以下の低比抵抗領域が見られる。測点40〜55の区間に掘削されたトレンチでの観察によると(Y参照)、断層が測点48付近で発見され、その東側に変質を受けている断層の破砕帯が広がっていることが明らかになった。その結果から考えると、この低比抵抗領域は破砕帯に伴う変質帯に相当し、その幅は20m程度であると推定される。

測点45より東および測点65より西側では、地層はほぼ水平に分布し、東側では、深度0−2,3mは30Ωm以下の低比抵抗層、その下には、60Ωm以上の高比抵抗層が分布する。西側では深度0−1,2mは30Ωm以下の低比抵抗層、その下には、60Ωm以上の高比抵抗層が分布する。この高比抵抗層はトレンチでの観察によると礫層に対応している。断層を挟んでその高比抵抗層の上面深度に1〜2m程度の差が見られる。これは、断層の活動に伴い生じた礫層の垂直変位であると考えられる。

このような比抵抗分布の特徴は、測線L2−2においてもほとんど同様に見られる。測点47〜68に見られる、変質帯に対応すると推定される低比抵抗領域の幅もほぼ同じであり、この変質帯は断層に沿って一様に続いている可能性がある。また、変質帯の両側に見られる高比抵抗層も東側と西側ではその上面深度が1〜2m異なり、それに相当する礫層の変位も同じと考えられる。測線L2−1では、測線の東端部では高比抵抗層が薄くなる傾向が見られたが、測線L2−2では、東端部に明瞭な低比抵抗構造が見られる。従って、東端部の地層分布は両測線間で異なる可能性がある。